哭(な)きの龍

相摸屋 分三郎
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お互い入れ替わっている事に気づいた瀧と三葉は、

お互いの生活を守るためにルールを設けるが

もちろん、それが破られることもしばしばで・・・二人はケンカを繰り返す

瀧「おい・・もうやめにしょうぜ、自分で自分を痛めつけてるなんて、みじめなだけだぜ」

三葉「ええ考えやね、それに賛成や・・・元はと言えばあんたが勝手な事するからでしょ!?」

瀧「それを言うならお前だって・・・っと、あぶねえ、あぶねえ!話を整理しようか!問題は・・どうして俺たちの体が入れ替わるようになったかだが・・その原因を突き止めないとどうにもならないだろ!?」

三葉「それについてはちょっと心当たりがあるんやけど・・・」

瀧「本当か!?なんでもいい、手掛かりになることなら教えてくれ!!」

三葉「うん・・・それは『狐』よ!!」

瀧「キツネ・・・!?」

三葉「テッシーが言うとったけど、これに間違いないわ!!」

瀧「誰だよ?、テッシーって・・・!?」

三葉「覚えとらんの!?あんたが最初に私と入れ替わった時、会った男の子でしょ!?あん時は、テッシーの胸倉つかむわ、振り回して投げ飛ばすわ、えらいハデにやってくれたそうやないの!!おかげで、あれから私にやれ『ののしってくれ』だの、『殴ってくれ』だの、テッシーに変な性癖植えつけんといて!!」

瀧「あ、ああ・・あの坊主頭のやつね、悪いことをしたと思ってるよ・・・それでも、性癖まで俺は責任はもてませんよ!?・・・ゴホン!だけどよ、いくらなんでも今時キツネに化かされるなんてさ・・・」

三葉「間違いないもん!!私、最初に瀧くんと入れ替わった時会ったんだもん!!人間に化けてるようだけど、よう見たら化けきれてない部分があって・・・あれは絶対狐だって!!」

瀧「もしかして・・・そいつ、着物着てなかったか?」

三葉「うん、着てた」

瀧「顔に十文字の傷があって、背中に妙な文字の描いた羽織着てなかったか?」

三葉「あったあった!!ね、ほら瀧くんも見てるやん!!」

瀧「思い出したぜ・・・そういえば俺も最初、お前の体と入れ替わった時会ったんだ・・・あの野郎は俺の姿は女なのに、中身が男の俺だと知ってるような口ぶりだった」

三葉「私もそう!姿は間違いなく男の子なのに・・・『彼女』とか言ってたし!」

瀧「間違いないな!!ようし、今度会ったらとっちめてやる!!」

三葉「どうやって?相手は神出鬼没やし、妙な妖術を使うかもしれんよ!」

瀧「狐なんてしょせんはケダモノだし、バカだから油揚げを使えばおびき寄せるんじゃないか?・・まあその話は後にするとしてよ・・・お前にちょっと聞きたいことがあったんだ」

三葉「奇遇やね、ちょうど私も聞きたいことがあったんよ・・」

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2016-10-19 12:15:02 +0000