【団長の思い出】に+1!
クーブ【illust/57707910】
________________
先ほど子どもと別れた後、クーブは彷徨っていた。
珍しく住民にも探索者にも会うこともない。かと言って、お目当ての鉱石も見当たらない。
「……外れを引いたかな」
クーブはため息を吐く。
このまま闇雲に進んでいるのにも飽きてきた。少し休憩してから別の場所に移動するか。
そう考えていた時だった。
複数の気配を察知する。
それも全て敵意の籠った気配だった。
金目の物を狙った強盗か、はたまた好戦的な探索者か。
クーブは軽く地を蹴ってふわりと空に浮かぶと、いつ襲撃が来ても迎え撃てるように、葉で出来た刃を発生させる。
それと同時だった。
「侵入者よ、出ていけ」
鉱石のような妖精が数体姿を見せ、クーブを囲む。
全員が敵意を顔に表し、各々が小さ目の岩や光を操り、攻撃しようとしていた。
「なんだ、ここの住人か。ちょうど良かった」
クーブは表情を変えることもなく、先ほどの相手の発言からここの住民だと察知すると、葉の発生を止める。
止められた葉はボロボロと崩れると、細かくなった欠片は消えていった。
「ここから去るよ。その前に、一つ聞きたいんだ」
クーブが「去る」と宣言したことと攻撃を放棄したことから、追い払うことを目的に動いていた鉱石の妖精たちも攻撃を放棄する。
小さ目の岩は下に落ち、地面に打ち付けられると粉々に砕ける。
光も消え去ると辺りは元の暗い洞窟に戻る。
「聞きたいこと……なんだ?」
「君達、僕がいるギルドのマスターのこと知ってる?マウィーレって言うんだけど」
2016-10-01 03:50:30 +0000