コヴォール「ふむ、やはりそうなるか」
フルタカ「ねえ、なんて書いてあるの? 読めはするけど、意味は分からないわ」
コヴォール「簡単に言うとだね、アラチャスカの、スフィアの巫女が新たに決まったのだそうだ。
族長殿の与り知らぬところでね。奴もよほど焦っていると見える」
フルタカ「まあ。そんなの、うちのクランだったらただじゃすまないわね。
所で、奴って誰? あなたのお友達?」
コヴォール「面識も話したこともないがね。奴とは即ち、スフィアの事さ。
意思を持つエネルギー体であるのなら、広義の意味で奴もまた生物であろう。
族長殿はかねてよりスフィアを排しようとしていたようであるし、
彼の息のかからぬ手駒を作っておくのは重要だろう。
ただでさえこの数年で力も削れているようであるし、
かつてのアラチャスカのような、殺戮をもって贄を大量に得る手段を失って久しい。
加えて、スフィアの価値を揺るがす定住の話だ。焦りもしようさ」
フルタカ「難儀な話ね、自分でご飯を食べれないって。私なら耐えられないわね」
コヴォール「はは、私たちほど悪食な生き物もそうはおるまいさ。
しかしまあ、このままでは対岸の火事、という訳にもいかなくはなってきたがね」
フルタカ「どういうこと?」
コヴォール「このままでは、近くアラチャスカで内乱が起こるだろう。
元々族長殿が外部との交流を盛んに行っていたのもあり、
アラチャスカ内部においてもスフィア信仰の絶対性が揺るぎつつある。
憲兵らの活動が活発になっているのもそれを裏付けているからね」
フルタカ「なるほどねぇ、どちらが勝つにせよ、まあ、ろくなことになりそうもないわね」
コヴォール「そこでだ、私は……そうだな、便宜的に、親スフィア派、反スフィア派としようか。
私は、族長殿をはじめとする反スフィア派に肩入れすることにしたよ。
親スフィア派がアラチャスカの覇権を握ったとして、どうなるかなぞ目に見えているからね」
フルタカ「穏やかじゃないわね。静観するのではないの?」
コヴォール「親スフィア派が覇権を握ったならば、かつてのように虐殺が始まらないとも限らないのさ。
ならばいっそ、族長殿らに肩入れして、スフィアその物を滅ぼしてしまった方が後腐れがなくていい。
無論、親スフィア派が覇権を握った場合の事も考えねばなるまいがね。
無理とは言わないが、協力してくれるかい、フルタカ」
フルタカ「私は頭もよくないし、あなたのしたいようにするのがいいわ。
それにね、コヴォール。さっきの話をしていたとき、あなた、とても獰猛な顔をしていたわ。
そんなワイルドなあなたも、嫌いじゃないわよ?」
コヴォール「そうか、私はそんな顔をしていたかい? はは、照れくさいな。
君と出会う前、主の元で小間使いをやっていた時期はよくこうして悪だくみをしたものさ。
昔を思い出すようで、若返った気分ではあるね。
さて、それでは本格的に動くとしようか。
フルタカ、ニーズヘッグ=サンやアマギ=さんに声をかけておいてくれるかね?
タイホウ=サンは……まあ、アーチン=サンに伝えておけば良いだろう」
フルタカ「この間のイクサも中々楽しかったけど、こういうのも悪くはないわね。
……スプリガンは、どうしようかしら?」
コヴォール「スフィは……まあ、後で私から伝えておくさ。分かってくれるとは思わないが、
あの子も子供ではないのだ。あの子のやりたいようにさせておくさ」
そんなわけで、コヴォール夫妻がひっそりと暗躍を始めている模様。
アラチャスカの定住や巫女の交代に端を発する諸々で、
こっちnovel/7247951のグレーム同様、内乱が起きると推測。
族長がやろうとしていることを様々な情報から察し、自分なりに助力しようとしている模様。
特に族長と繋がっていたわけではないですが、これからそのように動くこともあるかもしれません。
なお、コヴォール自身分類するなら反スフィア派ですが、
基本的なスタンスとしては『身内とメル・スラファを守る』という感じ。
■うちの
コヴォールillust/56426881
フルタカillust/56713144
例によって問題しかない気もしますが、問題なぞあればお気軽にご連絡をば。
2016-09-28 19:10:43 +0000