一人の少女が薄暗い部屋の中を必死で移動していた
少女の体は満身創痍で、美しい顔も、今では見る影もなく血と痣で腫れあがっていた
ホーン「あらあら、かわいそうに・・・ひどい目にあったのね、ダイジョブすぐにらくにしてあげるわ」
「待ちなよ、ホーン姉さん その子はまだ死んじゃいねえぜ」
ホーン「放っておいてもこのままじゃ、死ぬだけよ?それに・・この子は普通の人間とは違うものを感じる・・・クローリー様のところへお連れして、従者に加えてもらえるか頼んでみましょう」
七海「い、いや・・はなして・・私・・行かなくちゃいけないの・・みんなのところに・・せ、せんせいや・・ひなたくんのところへ・・・」
ホーン「まぁ、そこまで何があなたを駆り立てるのかしら?人間というのは欲望にしか生きられない哀れな存在、そんなものより私たちの仲間になったほうがあなたのためよ?」
「悪いが、その子を放してやっておくんな 俺もその子に話があって来たんだが、断られたよ・・・この子が俺に絶望を始末してくれと頼んでくれれば、すぐにでも殲滅してやるものを・・・絶望に落ちた担任やクラスメイトがどうしても心配なんだとさ・・・さすがの俺も自分の意志で殺しはできねえから参るぜ」
ホーン「正体を現したわね、やはりあなたはただの血に飢えた狼だわ」
「わお、鋭い推理だな、あんた『超高校級の探偵』と呼ばれたことはないか?それとも今日は誕生日だからさえてやがるのかな?」
その時男がつけていたインカムが鳴る
「もしもし・・俺だ、何?黒幕の正体がわかった?そうか・・・なんだと?あいつか!!そういえば、昔殺されかかったことがあった・・あの時にぶっ殺してやるんだったぜ!!・・まあいい、今からそいつのところに乗り込んで行くとしよう、というわけで俺は用事ができたが・・・その子を放してやってくれるよな?血なら後で新鮮なやつをいくらでもやるよ、絶望が伝染(うつ)ったらごめんな」
ホーン「もういいわ、お行きなさい・・・少しでも苦しみを和らげてあげようとしただけなのに・・人間ってのはわからないものね・・まあいいわ、今日はクローリー様が血をくれるって言ってたし、そっちの血のほうがおいしいものね!!」
ホーンが手を放すと、七海はまた足を引きずりながら歩き始めた
その先にあるのが地獄しかないのを知りながら
2016-09-21 13:50:04 +0000