慌ただしく地面を蹴る足音に、続いてひびく爆発音。
視線は自然とそちらへ移った。
爆発の影響だろう。大きな砂埃が視界を覆い、目線の先の像を朧げにさせる。
壁や天井にびりびりとひびく余韻。砂の舞い上がる音。
地面に何かがぶつかって擦れるような音。
砂埃の中ぼんやりと見えるシルエットから、おそらく戦闘が始まったのだろう。
そして低い声から紡がれる聞き覚えのない音。
それが「言葉」なのではないかと思い立ったのは偶然だったように思う。
低い声で、対峙した何を伝えているのか、さっぱり分からない。
けれどとてつもなく嫌な予感がした。
低い声の聞こえた方向。
大きな、不思議な形をした箱を背後に携えた影からふいに何かが放たれる。
放たれた何か、が地面に当たった瞬間爆発音が再び響き、砂埃が舞い上がる。
衝撃で強い風が洞窟を吹き抜けた。
小石がこちらに向かって弾丸のような勢いで飛んでくるのをなんとか避ける。
間髪入れず今度は対峙した小さな2つの影に向かってそれが放たれるのが見えた。
仕込んでいたしゅんそくのたねを嚙み砕き、ビスクは砂埃の中に飛び込んでいた。
小石が頬を擦り、肉を薄く抉り取っていく。
鋭い痛みが走ったが、そんなことはどうでもよかった。
何があって、どうして戦っているのか、自分は何もしらない。
ただ低い声で紡がれた言葉に感じた嫌な予感がビスクを動かした。
砂埃の壁を破れば、内側の様子がはっきりと見えた。
急な来訪者に、対応出来る様子はない。
木によく似たポケモンから放たれた種と
傷付き横たわる茶色のポケモン、確かイーブイという種族だったように思う、の隙間に
ビスクは身体を滑り込ませた。
瞬間。爆発音がより大きく響き、衝撃が脳を大きく揺らす。
一瞬遅れて、小石の比ではない痛みが頭の右側を襲った。
熱い。熱い。熱い。
ぬる、と血が首を伝っていくのを感じた。
痛みに身体を震わせながら、閉じてしまいそうな目をこじ開ければ
右側の世界が真っ赤に染まって見えた。
これくらい大丈夫だ。だってすぐに治るから。
左によろめきかけた身体を、左足を踏ん張ることで支える。
幸運にもフードは取れなかったから、深くかぶってしまえば顔の傷を悟られることもないだろう。
フードを右側にグッとひっぱり、左目で目前の相手を睨みつけた。
「あなたは、何をしようと、しているのですか」
熱で焼けた喉から絞り出された声は、ひどく掠れていた。
◆◇◆
【illust/59042073】より
クレメインさん【illust/57708268】
ブトーさん【illust/59042279】
ウミさん【illust/57707535】
カグラさん【illust/57708031】
こっそりですが、しばりばな【illust/59036916】
お借りしました。ありがとうございます。
時間枠的にはこちら【illust/59047758】でみんなが到着する前くらいかなーと!
無所属ですがOnlyYou支援としてボウケン者タグで失礼します。
全力で盾やらせていただきますϵ( 'Θ' )϶ばばっ
---
ビスク【illust/57711628】
2016-09-18 14:15:48 +0000