【花冠】渡せなかった花を【交流】

翠火

「もう一度あの場所へ行こう。二人で」

☑贈る花:あの時渡せなかった色の薔薇、そして貴女illust/57696937】が好きだと言った色の薔薇

勇者歴60年、蒼月の日…の少し前。寒い。けれど理由があって国中をずーっと駆け回っていた。
そして見つけた。凛と咲く花を。……そしてふと、隣を見るととある色が目に入る。
……そう、貴女が好きな色。あの日に聞いた事、ちゃんと覚えてるよ。
どちらを選んでもきっと貴女は喜んでくれるだろうけど。結局選べなくて一つずつ。
このどちらも僕にとっては大切な色だから。


* * *

「寒いのに無理言って連れ出しちゃってゴメンなさい。体調悪くなったらすぐに言ってよね?
 でもまさか陽の国でもこんな格好する事になるなんてなんだかヘンな気分」
「30年前、ここでキミに薔薇を渡したんだよね。うん。懐かしいな。
 ……ねえ、ちょっとここでゆっくり月を見ていかない? 渡したいものもあるしさ」

「はい、これだよ…前に渡せなかった色。やっぱり僕の中で心残りでさー。
 あとこれは隣に咲いてて、キミが一番!!って選んでくれた色。……選べなかったんだ」
「受け取ってください」と言葉を添えて、二輪の花を渡した。願うのは、30年前と同じこと。

* * *

「ねえ。僕はイスラナの事、家族の事、最後まで忘れないから。絶対に。
 キミたちが悲しんで、苦しんで、喜んだ色も一緒に抱えていく。だからさ。お願いだからさ。悲しまないでよ?」
…………娘に「空気が読めない」と言われるのはおそらくこーゆう発言が原因なのだろう。
無茶なお願いだって分かってるし、こんな事を言いながらどこか悲しんで欲しいなんて思ってる自分もいる。
僕は死んでもキミみたいに星にはなれないけど、いつだってキミたちのそばにいるから。


……でも、どうしてもキミが耐えられないというのなら。その時は僕を見つけて。

そうしたら、キミを


* * *

ネロ【illust/57673832】30年前に贈った花→【illust/57875129
二本の薔薇の花言葉:この世界は二人だけ    九本の薔薇の花言葉:いつも一緒にいよう

#【カカン】交流

2016-08-13 15:00:02 +0000