襲撃事件から2日経過―その間学園は休校となり、破損個所の修理や復旧工事に勤しむ事になった。教員部隊や専用機持ちの中の何人かがその工事に駆り出され、俺とルナもデスティニーとインパルス(モビルスーツ)で瓦礫の撤去や資材搬入等の作業をしていた。 シン「ふう…こんなもんか」 真耶「アスカ君お疲れ様です。もう上がっていいですよ」 シン「了解」 * 自販機で缶コーヒーを買ったシンはベンチに座りコーヒーを飲む シン「いつ以来だ?MSをこんな風に使ったのって」 一夏「よっ、お疲れ」 シン「おう一夏」 一夏「しっかしMSってでっかいよな~。何せ巨大ロボットだもんな、人やISじゃ無理なサイズのも持ち運びできていいな」 シン「確かにそうだな…ってかデスティニーをこの学園の工事に使うなんて思ってもみなかった」 一夏「ハハハ、だろうな」ドリンクゴクリ シン「なあ知ってるか?MSのルーツってさ、昔ジョージ・グレンが木星探査船で使った外骨格補助動力装備の宇宙服…まあパワードスーツだな。それが元になったらしい」 一夏「おお…ISみたいな物か」 シン「まあISくらいとまではいかないけど、倍力服でもある宇宙服だ。でもISが出るよりも前の話だぜ?」 因みに機動戦士ガンダム宇宙のイシュタムでもその様な物は出た 一夏「何だそうなのか…MSもISも原点は似てんのな」 シン「まあそれが大型化してザフトが派生させて大型機動兵器になったりな…Nジャマーの影響下だと遠距離戦は通信妨害でダメになるから接近戦をせざるを得なくなるのもあるし。この開発話は白騎士事件前な?」 一夏「ああ歴史で習った。にしてもジョージ・グレンか…最初のコーディネイターだっけ?そこからコーディネイターの歴史が始まったけど、いい事ばかりじゃないな」 シン「ああ、ナチュラルとの確執とか戦争とかな」 缶をシンの握るシンの手が震える 一夏「俺さ、シンがコーディネイターでもナチュラルでもそんなのはどうだっていいと思うぜ?」 シン「そっか…ありがとな(気ィ遣ってんだな)」 作業上がりの鈴「ねえ、何の話?」 一夏「うわ!鈴かよビックリしたァ」 シン「ああ、今コーディネイターの話をな」 一夏「そうそう、MSとISの原点とかコーディネイターとか」 鈴「ふ~んそうなんだ。コーディネイターっていえば身体能力とか目の色とかを遺伝子調整で変えられるんだっけ?」 シン「まあな、俺の場合はそんなに優れてる訳じゃないかもだけど」 鈴「ふ~ん…あ、今思ったんだけど一夏って男でIS動かせるじゃん?」 一夏「何だよ今更」 鈴「一夏みたいにさあ、男でIS動かせる様に調整されたコーディネイターが出るかもってさ」 一夏「ハハ、何だよそれ」 シン「…可能性は0じゃないな」 二人「え?」 シン「今の世の中はすっかりMSが台頭してるが、ISの価値はまだ認められてる…鈴の考えに気づいた国々がそれを作ろうと躍起になったり、そいつを巡って奪い合いになったりしたら…最悪また戦争になるぞ!」 鈴「あっ」 一夏(やべ、地雷踏んだ) シン「それでまた誰かが傷ついて、死んじまって…それに巻き込まれて多くの花が―命が散って!そのコーディネイター達が火種になっちまって結局は同じ事の繰り返しで!俺みたいに家族や友達を亡くす人を出すじゃないか!だから迂闊な事は―」 鈴「ごめん!怒らせるつもりはなかったの!」 シン「あ…俺こそわりィ、熱くなりすぎた。ルナから言われてんのに」 一夏「…シンはそんな戦争のない世界を守る為にザフトにいるんだっけか」 シン「ああ…それでもまた戦争は否応なく起こるかもな。その時は戦うさ…大切な人達や沢山の人や、温かい世界を守る為に」 一夏「シンは凄いな…俺は大切な人を守ろうとしてるのにそれ以上で…」 シン「昔から俺もそうだけど…それで息巻いて何も守れなかったさ、あの頃は」 一夏「けど今は違うだろ?」 シン「ああ…今度こそ守り抜いてみせるさ」 箒「なあ…そろそろいいか?」 一夏「うおっ!?今度は箒か!いつからそこに」 箒「シンの大声が聞こえたのでな…最悪また戦争になるぞ!って辺りからな」 シン「あっ」 箒「シンは…自分自身やこれまで失った人達の様な悲劇を繰り返さない為に戦ってるのだったな」 シン「ああ。理不尽な暴力や悲しみは…もう起こさせたくないからな」 箒「本当に…立派な志だと私は思う。私より何倍も…」 シン「まあそうだろうけど…俺もここまで来るのに色々あったし、昔の俺は褒められたもんじゃなかった…結構荒れてたしな」 箒「え?」 シン「と、そろそろ昼飯食いに行くか…あ、もしさっき言ってた戦争にISの代表や代表候補生が駆り出される可能性があるだろうけど…その時は俺を頼っていい。そんな時でも運命を切り拓くさ」スタスタ… 鈴「何よ、ちょっと怖い事の後にあんなかっこいい事言っちゃって」 一夏「ホントいつもながら世話焼きで頼りになるよ…俺達の兄貴分は」 箒「そうだな…」 この時箒はシンの言った事と憂いを帯びた顔が気になっていた *夕方の食堂 シン「ZZz…」読書中に居眠り セシリア「あら?シンさんたら」 シン「うぅ…ステ…ラ…」 セシリア「!? まさか!」 シン「うぐ…!」 セシリア「シンさん!しっかりして下さい!」ぺちぺち! シン「ん…はっ!ハァ、ハァ…」 セシリア「酷くうなされていましたわ…悪い夢を見ていたのですか?その、ステラさんの…」 シン「ああ…すまない、昔は酷かったけど今でもたまにあるんだ」 セシリア「同室の一夏さんはこの事は?」 シン「知ってる。でも皆に心配かけさせたくないから黙ってもらってる。だからこの事は他の皆にも内緒で頼む…な?」 セシリア「はい…ですが、せめてわたくしに何かさせて下さい。その、いつもルナマリアさん共々お世話になってますし」 シン「ああ…じゃあ、明日の夕方に紅茶頼めるかな?英国の本場のを」 セシリア「はい、喜んで!」 シン「おう頼むわ」スタスタ セシリア「お兄様…」 *翌日の土曜、一夏は友人の五反田弾の家に行く事に。暇そうにしていたシンも連れて…その道中 シン「なあ一夏、最近のセシリアだけどさあ」 一夏「セシリアがどうかしたか?」 シン「すっかりクラスに打ち解けて、俺達とも結構一緒にいるけど…時々俺をお兄様って呼ぶんだよなァ」 一夏「ハァ!?何だそりゃあ?」 シン「俺を慕うのは嬉しいけどまたそう来たら…俺変なスイッチ入りそう」ワナワナ 一夏(そうだった、シンは妹大好きなシスコン兄貴でもあるんだった) * 箒「なあルナマリア…昔のシンについて訊きたいのだがいいだろうか?」 ルナマリア「いいわよ?アカデミーからでいいかしら」 箒「宜しく頼む」 … BGM:君は僕に似ている ルナマリア「それでね、あの頃のシンったら鋭いナイフみたいで、怒りっぽくて何かあると怒鳴ったり、一人で突っ走ったり…ホント子供よ」 箒(まるで私だ!) ルナマリア「それで我武者羅に力を求めて、増長して…結果は悲惨な物よ」 箒「そうだったのか(私は似ているんだ…昔のシンに)」 ルナマリア「けど…あいつはそれらの過去も自分の一部にして成長したわ」 箒「本当に強いな…私もそうありたい」 終 セシリアは恋人になれなくても妹分として慕ってる
2016-08-10 07:03:10 +0000