IS学園がゴールデンウィークに入る前の事―アリーナにて エックス「ストームトルネード!」ギュゴゴゴゴ!(ターゲット粉砕) ゼロ「斬空閃!」ザシュ! アクセル「ソニックショット!」スパパパ! 鈴「これがエックス達の新技?何か凄いわねえ…」 一夏「あれ、でもこの技って確かこの前の…」 箒「ああ、イーグリード達が使っていた技だよな?」 エックス「ああ…俺達は、戦って倒した相手の武器や技を自分も使えるんだよ」 一夏「ええっ!?何だよそれ…」 アクセル「要するに、例えは古いけどメンコみたいなものかな?」 ゼロ「…お前いつそんなの憶えた」 アクセル「ネットとか見てたらね~♪」 一夏「メンコって…でも、その人だけの技を使ってるのって…」 エックス「昔からね、こうやって俺達は戦って強くなったのもあるんだよ…俺は武器チップ、ゼロはラーニングでね。そりゃあ、倒したボスから出た武器チップを装備したのもある…けど、心が通じ合えた奴もいるんだ。彼らから自分の武器チップを託された事もあるんだよ…その想いと一緒にね」 一夏「想い…?」 エックス「それは『希望』さ。俺は…俺達は何度もシグマ達の悪意に立ち向かい、その為に多くのものを失ったりもした…でも、正気に戻って一緒に戦ってくれたり、死ぬ寸前に俺達に後の事を託して武器チップをくれたのもいる…そんな彼らからもらった物を、俺は無駄にはしたくないんだ」 セシリア「託された希望…」 アクセル「そうそう、レッドアラートの時もそうだったっけ(レッド…皆…)」 ゼロ「それに、何十年以上も前の昔っからこう言うだろう?『技は見て盗む物』ってな」 一夏「あっ(そういえば、昔見たお好み焼き職人の番組やどっかの漫画でもそんな事言ってたっけ…)」 ゼロ「さて、そこでだ…お前達には俺達が直に技の幾つかを伝授してやろう」 箒「えっ!いいのか!?」 ゼロ「まあ覚えてる範囲もあるがな。それと…精神面がまだ鍛える余地ありなようだからそこもな」 アクセル「あと、一夏は真っ直ぐ突っ込んでく癖があるからねえ。流石にあれは危なっかしいからフェイントの一つや二つ覚えたらいいよ?突っ込んでくると見せかけて横に移動して、相手がもたついてる隙に斬るとか」 一夏「成程、フェイントかあ…」 箒「そんなの考えもしなかったぞ…」 ゼロ「俺も結構やるな。ISの競技にしろ、互いの生死を賭けた実戦にしろ、これくらい織り交ぜんと勝つのは難しい。闇雲に突っ込むのが近接方じゃない」 鈴「確かに…こないだスラ○ダンクの再放送で観たけど、バスケもフェイントとかのテクが重要よね」 箒「私は正々堂々戦うタイプなのだが…むむう」 アクセル「騙しのテクとも言うよね。僕そういうの得意だから教えるよ」 一夏「皆…ありがとう、じゃあ頼むぜ」 * その後、俺達3人は彼らに様々な事を教えた。その時に『自分達が異世界から来た進化したロボット《レプリロイド》である事も伝えた…その事に一夏と箒は驚いていたが、セシリアは「合点がいきましたわ」と言うし、鈴は「やっぱりね、薄々そんなんじゃないかなーと思ってたのよ」と二人して納得してた… * 連休前日―第1アリーナ スタスタ… エックス「南側異常なしっと…あ、ゼロ」 ゼロ「こっちも何もないぞ。最近は呆気ない程何もないな…」 エックス「うん…不気味な程にね。まるで嵐の前の静けさだ…」 スタスタ… セシリア「あら?エックスさんにゼロさん?」 エックス「セシリア?…練習かい?」 セシリア「ええ…あの少しお話をしても宜しいでしょうか?」 エックス「えっ?」 ゼロ「…エックス、シフトは俺とアクセルがお前の分もやっとく。だからいいぞ」 エックス「有難うゼロ。じゃあ…」 *ベンチ― セシリア「あの、新学期早々の事ですが…あなたの事を『弱々しい男の教師兼警備員』などと言ってしまって…申し訳ございません」 そう言って彼女は俺に頭を下げる エックス「いや、いいよもう…それより顔を上げてくれ」 セシリア「エックスさんは、本当に優しい方なのですね…誰かが傷つく事も傷つける事もよしとせず、それ故に望まない戦いをしたくない…それでも、大切な方や多くの方が危険に晒された時、あなたは自分の力を振るい、立ち向かう…そして、そんな優しさと強さを持っているからこそ、誰かの為に涙を流す―そんな素晴らしい方なのですね」 エックス「ゼロにも言われたよ…そんな俺だからこそ英雄になれたんだろうともね」 セシリア「英雄、ですか…フフッ、最初は弱そうに見えて、本当は優しい心を持った強き英雄…面白い方ですのね」 エックス「ハハ、優しい心を持った強き英雄かあ…まあ、最初はそうでもなかったけどね」 セシリア「え、どういう事ですの?」 エックス「それはね、昔の俺はそんなに強くなかったんだ…」 * それから俺は彼女に語った―…イレギュラーハンターになりたての頃、イレギュラーは許せないのに撃つのをためらい、悩み、それでいつもBランクで皆からは嘲笑の的だった事… それでもゼロが俺を助けてくれて、先輩から親友でいてくれた事… シグマの反乱が起こり、苦悩しながらも戦い、その中で成長し… 俺に自分に対する誇りを教えてくれたマルス、漢と見込んでくれたアルマージ、あえて悪役を演じたイーグリード達、沢山の友の事や彼らの死… それからのシグマとの戦いや17部隊の隊長になった事… それからも度々起こった戦いの事や、何度も現れるVAVA、部下だと思っていたダブルが実はスパイだった事… その中で俺は、成長はしたけど沢山の物を失って、幾度も涙を流した事も語った― * セシリア「それは…さぞ辛かったのですのね…」 エックス「本当に色々あったよ…でもゼロや皆のおかげでここまでこれた。他にも隊長としても色々あった…部下の喧嘩の仲裁とか、新人のミスで街の人から苦情が来たら、「俺の指導が足りなく、すいませんでしたっ!」って頭を下げてまで皆をなだめようと、色々ね…」 セシリア「まあ…(ひょっとしたら、わたくしのお父様もその様に…?)」 * わたくしは益々彼に興味が湧きました。一夏さんも素晴らしい方ですが、エックスさんも悩みや苦労を抱えながらも進む方…その『ロックマンの名を持つ英雄』は、わたくし達をどの様に導いてくださるのでしょうか…? 終
2016-07-01 07:13:21 +0000