(懐かしいなぁ…あれからもう10年かぁ…)
探し物をしていたら、小学校の卒業アルバムを見つけたので
思わず6年1組のページを開いて見るユリカ。
「ただいまだぜ。」
ドアの開け閉めの音がすると、愛する人の声が聞こえてくる。
「あら、あらし君おかえり♪」
居間に入ってきたあらしはユリカが見ているアルバムが目に入る。
「へぇ…戸越南小の卒アルだぜ…。」
「ねえねえ見て見て、ほらほらっこれがあの時の私達よ。」
ユリカはアルバムのページを指さすと、また何かを思い出したようだ。
「そう言えばクラス紹介で皆の写真を1枚づつ載せているんだけど
私の写真ってあらし君が選んでくれたのよね。」
「そ、そうだった…か…だぜ?」
思い出せないあらしにユリカはその時の彼の言葉を話してみた。
「そうよ~『4枚ある候補の内、運動会の時の
体操服で体育座りしているのが一番可愛いぜ。
これは永遠に残しておきたい素晴らしい健康美だぜ。』
…って力説して推していたわ。」
ユリカの話を聞いて、当時ちょっと熱っぽかった事を思い出したあらし…
その時また大胆な本心を喋ってしまったのだと確信した。
「多分あの時、熱があったんだと思うぜ。
でなきゃそんな恥ずかしいセリフ到底言えないぜ。」
指で頭をぽりぽり掻きながら、照れ顔で当時の状況を話すと
更に一言…
「あ、家の仕事はほどほどにしておくんだぜ。
ユリカはもう1人じゃないんだぜ。
シャワー浴びてくるぜ…」
そう言ってバスルームへ向かった。
【終】
2016-06-21 15:09:44 +0000