俺は毎日仕事に追われ、帰宅してはお布団にダイブし泥の様に眠る毎日を送っていた。
そんな生活が死ぬまで続くのであろうと思っていた。
だが、そんな生活はある日突然に終わった。
何時ものようにケータイのけたたましいアラームで嫌々と目を開くと
そこはシケったお布団の上ではなく、草の生い茂った林の上だったのだ。
ここは夢の中だろうか?わけもわからず呆けていると
頭に何かをつけた…耳?ネズミの耳のようなものを頭につけていて、胸に綺麗な光る宝石をつけた小さな女の子がこちらを覗き込んでいた。尻尾もあった。
ネズミの少女はこちらを覗き込みながら肩からガックシと垂れ、心底落胆したような顔でハァ~っとため息をついてから話し始めた。
「なんだ、ペンデュラムがえらく反応してるから期待していたんだが、ただの人間じゃないか」
「君が宝を持っているのか?それとも君が…いやそれはないな」
「おい、人間。私は妖怪だ。死にたくないなら宝を差し出せ」
何を言っているんだ?このネズミ女は?死ぬ?妖怪?宝?わけがわからない。子供の遊びか何かか?でも確かに彼女の耳はぴくぴくと動いているし、尻尾もぴこぴこしていた。もしかしてホンモノの妖怪って奴なのか?ネズミ男の親戚か?
そうぐるぐると思考をめぐらせているととネズミの女の子は怪訝な顔をして口を開いた
「人間にしては変なカッコだな。よくみたら君は外来人か、どおりで馬鹿みたいな顔をしているわけだ」
「そうだな…」
少し考える素振りを見せた後、ネズミの少女は、ニヤリとしてこう言った。
「食べてしまおうか」
2016-05-15 20:54:28 +0000