あの後シンとの試合もあったが結果は俺の負け―善戦した方だけどなあ…すげえよ流石ザフトのエース。 それでクラス代表は俺…織斑一夏になり、シンは「素質があるし一夏の目標の為にも鍛えてやりたい」って辞退した。シンに話した事も関係してるってのかな? 回想―屋外ベンチ シン「へー、一夏も大事な人をを守るっていう夢っていうか目標っていうか…そういう信念みたいなのがあるんだな?」 一夏「信念っていうか…まあそういう事だな。俺と千冬姉は両親に捨てられてからこれまでずっと二人暮らしだったし、ずっと…千冬姉に守られてきた。だから今度は俺がな」 シン「成程な。大切な人を守る…か、俺と同じだな」 一夏「え、シンも?」 シン「ああ、俺もそうなんだ…いや、そうだった…かな」 一夏「へっ?何で過去形なんだ?」 そしたらシンはベンチから立ち上がる シン「一夏、お前は…俺みたいになるな」テクテク… 一夏「ちょっ、シン!?」 夕日に照らされる中、そう言ったシンの背中はどこか悲しげだった 回想終了― あの時のがどうも引っかかる…シンは「その内話すから」っていうけどどうも気になる…俺と同じ志を以て戦ったかもなのに…しかも、お前は俺みたいになるなって…一体何があったんだよ、シン…? そしたらクラス代表就任記念パーティーで、シンは「俺はこの手で、迫る脅威から皆を守り、今度こそ運命を切り拓いてみせる!」ってコメントしてた…何かすげえな、俺はそんな風にはコメントできなかったのにな…何ていうか、箒も言ってたけどハッキリとした覇気というか信念っていうか…そういうのを感じる。やっぱり大戦を戦い抜いたエースは違うなあ… そしたら今度はセカンド幼馴染の凰鈴音が転校してきた…相変わらずの元気っ子で安心したし鈴はシン達ともいい感じだ。 それはいいが、ま~あ今度は俺が「一夏は約束をちゃんと憶えてない!」って鈴ともめて…途中でシンが待ったをかけて仲裁に入った。 シン「箒、鈴、ルナ。悪いけど今の件で一夏と話してくる」 鈴「ちょっ、何よいきなり」 ルナマリア「わかったわ…シン、あんたも大変ねえ」 箒「了解した(どう話すか大体察しが付く)」 シン「皆ありがとな、じゃあ」グイッ 一夏「ちょっ、シン!?」 バタン 鈴「ねえ、シンはいい奴だろうってのはアタシにも分かるけどさ…任せちゃっていいの?」 ルナマリア「大丈夫、あのシンならちゃんと説得してくれる」 箒「私はまだ少ししか共に過ごしてないが…シンなら信じていい、不思議とそんな気がする」 鈴「ならいいけど…」 * シン「一夏、さっき鈴ともめた約束の内容だけど…お前本当にタダ飯奢ってくれるとか思ってんのか?」 一夏「えっ、違うのか?」 シン「ハァ…(こいつは鈍いなんてもんじゃない。箒も鈴も苦労したのがよく分かる)いいか?一夏…落ち着いてよく聞くんだ、はい深呼吸」 一夏「お、おう」 シン「初見の俺でも何となくで察したが…鈴が言っていた「料理の腕が上がったら毎日酢豚を食べさせてあげる」っていうあれだけどな…」チラッ(3人がいる部屋のドアを見るシン) 一夏「うん?」 シン「(もうこの際だ、鈴には悪いがこの朴念仁にはちゃんと教えてやらないと伝わらない)あれな、日本に昔からあるっていう「僕に毎日味噌汁を作ってください」っていう一種のプロポーズの奴…それみたいなもんだと思うぞ。ってかそれしか答えが導かれねえ」 一夏「プロポー…えっ?ええっ!?」 シン「つまりだな、鈴はお前とそうやって将来を誓い合った。ところがお前はそれを勘違いしていた、あるいは年月と共に変に解釈しちまった…という訳だ」 一夏「ええっ!!そうなのか!?」 シン「声でけーよ」 セシリア「今の声は…あら?あれはシンさんと一夏さん?」コソッ シン「だからそうだって…さてここまで話せばどういうことか分かるな?察せるな?できなくても察しろ、それでも相変わらずだったら俺がスパルタでも教える」ゴゴゴゴ… 一夏「お、おぉ…何か、千冬姉みたいになってるぞシン…」汗タラー シン「当然だ、お前が余りにも鈍いからな…(この際だ、これも言うか?)ちなみに…箒もお前に惚れてるぞ?」ボソッ 一夏「ええっ!?」 セシリア(うまく聞き取れませんわね…何を驚いているのでしょう?) シン「あからさまだろ?この一週間ちょいでお前らを見てて何となくわかったぜ…ルナも気付いてるぞ?」 一夏「そうだったのか…全っ然気付かなかったぜ…」 シン「あとセシリアは…まだ微妙。態度が軟らかくなったし俺達と接する機会も多くなったが…まだ俺とお前のどっちに気があるのか」 一夏「お、おう」 セシリア(今、わたくしの事を言った様な…?) シン「俺にはルナがいるが…どうしよう、またお兄様なんて言われたら変なスイッチが入りそう」ワナワナ 一夏「シン!?戻ってこい!シーン!」 セシリア(一体どうなさったんですの!?)見ていられませんわ!」ダッ *セシリア「もう大丈夫なのですか?」 シン「ごめん、心配かけた」 一夏「ならいいけどさ」 シン「それと一夏…さっきの話の続きだけど、お前がどうするべきかはお前自身でよーく考えるんだ、よーくな。お前にはその為の意志が、心がある。あの頃の俺やレイやステラと違って、一夏はまだ自分で道を選んでどうするべきか考えれるんだし、戻れない所まで来て大事な人を失ってからじゃ遅いんだ…でも、過ちに気付いてやり直す事だってできる。だから諦めるな」 一夏「シン、俺の為にそこまで…ありがとな!けどその口振りだと」 セシリア「ええ、まるでシンさんが道を踏み外したかの様な…」 シン「えーっと(これもう言うか?引っ込みつかなそうだし)あれは俺がザフト軍に入ってから…」* そしてシンは俺達に語り出した…大事な友達と初恋の人を失った記憶を― 初恋の人のステラ・ルーシェは、敵対していた地球連合軍にいたけど最初は二人とも敵同士とも気づかず出合い、絆を育み…ザフト上層部にモルモットにされそうなのをシンが送り返しても、また戦場に駆り出されて、シンが必死に助けようとしてもフリーダムに機体を討たれて、致命傷を… 「ステラァァっ!!」 ステラはシンの腕に抱かれてそのまま息を引き取って…シンは彼女を近くの湖に水葬した。 友達のレイ・ザ・バレルはザフトアカデミーの頃からの同期の友達…一緒の船で一緒に戦って過ごして、それでも短い寿命という運命に囚われデュランダル議長を心酔してシンをそれに引き入れようとしたり…そして、シンに後を託してレイも… シンは沢山の物を失って、守ると誓ったステラさえも守れなくて戦いにも負けて…そんな心が壊れてしまう様な目に遭っても、シンは…前を向いて明日に向かって歩き出して…俺達はシンの『悲しみから来る心の強さ』が、分かった気がする。* シン「大体こういう訳だ…うおっ!?」 涙目鈴「シン、あんた…えっぐ、そんな目に遭ってもこんなに逞しいなんて…ひぐっ」 涙目箒「め、目の前で初恋の人が死んだだなんて…私だったら耐えられない!」 シン「皆いつの間に…」 涙目一夏「こんなに悲しい思いしてんのに…強いよシンは!」 涙目セシリア「だからシンさんは、人一倍思いやりや優しさがあるのですね…」 シン「ああ…だから皆―俺みたいになるな」 続
2016-05-12 07:11:35 +0000