ニルスの不思議な旅 ~愛鳥週間~

W.M.R.

 5月になりますと、快晴の日は、日中最高気温が24度を超越するようになりまして、初夏らしい陽射しが照り付けます。市街地や郊外の公園などでは、赤・白・紫などの、様々な色の躑躅(つつじ)も咲いていますが、わたしは躑躅が咲く事により、初夏の到来を実感します。

 今回は、実に久しぶりの投稿になりますが、『ニルスの不思議な旅』をメインにした、「原点回帰」のイラストになりました。
 今日・5月10日から5月16日までの、「愛鳥週間」(バードウイーク)にマッチさせたものです。

 今回のイラストですが、実は西暦1980年(昭和55年)のTVシリーズ本放送当時、ニルスを熱演されました小山茉美さんに宛てて、ゴールデンウィークの真最中、5月4日・みどりの日に送った絵葉書、いわば最新版が、原版になっています。
 投函する前に撮影した絵葉書の画像の一部を、トリミング加工してリサイズしました。

 ニルスは、ハムスターのキャロット、鵞鳥のモルテンと共に、アッカ隊長が率いる雁の群れと共に、一年という「時」を通じて、旅をしました。氷の海を飛び、山や野を超えて、大自然の厳しさに触れて、様々な動物や人間に出会い、様々な事件や不思議な体験を経験して、強さと優しさと凛々しさを備えて、大きく成長しました。
 今回のイラストの、ニルスと、ハムスターのキャロットは、第1話で妖精にかけられた魔法が、最終回で解けて、元の身長に戻った姿ですが、最終回の翌年の春、バードウォッチングとピクニックを兼ねて、自分の故郷である、スコーネ地方の郊外に、旅行に出かけた姿をイメージして描きました。

 例によって例のごとく、ニルスの髪型と瞳の光、シャツの色や襟は、アニメとはやや異なりますが(襟はわたしの独断で変更しています)、全体的にアニメそのままの姿を損ねないようにしました。特に、笑顔は大袈裟にならないように、或る程度抑制しながら、注意深く表現して描きました。
 トレードマークである真紅の毛織の三角帽子は、帽子の後端と、帽子の後端に装着されたもう一つのトレードマークである、金属製のホイッスルを、そよ風にで後ろに靡いているように描きました。ただし、シャツが、バックの蒼穹と一体化して溶け込まないように、少し間隔を空けて着色しました。

 ニルスが両手で構えている緑色の双眼鏡は、アメリカ軍制式採用の双眼鏡です。双眼鏡と、それを構えている手つきは、別作品から書き写しました。指はぴんと伸ばして、しなやかに表現してみましたが、注意深く描いた筈なのに、手が少しばかり大きくなり過ぎました(笑)。それでも、指は単にしなやかにするだけではなく、研ぎ澄まされたファイティング・ナイフのように、指先を鋭利に描いても良かったか(!?)、と思いました。
 双眼鏡は、やや大型になりましたが、これにストラップを付けて、首にかけていれば、完璧になったでしょうか。もしも、次の機会に双眼鏡を描く事があれば、今度は日本製の双眼鏡にしてみようと思っています。

 ハムスターのキャロットは、『ニルスの不思議な旅』朝日ソノラマ第4巻の裏表紙を参考にして描きました。朝日ソノラマ第4巻の裏表紙では、キャロットはウィンクをしていましたが、イラストでは両眼を開眼させています。

 前述しました通り、今回のイラストでは、ニルスと、ハムスターのキャロットは、バードウォッチングとピクニックを兼ねて、自分の故郷である、スコーネ地方の郊外に、旅行に出かけたという設定で描いていますが、リュックサックを背負って来ている設定にもしています。リュックサックは、繁みの裏に置いてあるものとイメージして頂ければ幸いです。

 バックの蒼穹を飛ぶ雁と雲は、『ニルスの不思議な旅』朝日ソノラマ第2巻の表紙を参考にして描きましたが、地面の草地と繁みは、『ドラえもん』の原作第3巻から書き写しました。また、良く澄みきった空気もイメージしながら、描き写したものです。自分の故郷である、スコーネ地方の大平原が見渡せる、小高い丘の上とイメージしていました(第1作でニルスが初登場するシーン)。
 別作品のバックに戸惑われる方もいると思いますが、それでも、『ニルスの不思議な旅』では、背景美術が重要にもなります。

 例によって例の如く、着色は殆んどマジックを使用していますから、陰影は付けていません。着色の際には、「色ムラ」が出ないように十分気を付けましたが、陰影が付かない分、あっさりとした印象になるかと思われます。
 何よりも原版が、ニルスを熱演されました小山茉美さんに宛てて、送った絵葉書ですから、なるべく明るい色にしました。投函する前に撮影した際も、なるべく明るくしました。ニルスの爽やかな笑顔は、
「あの不思議な旅では、ぼくも何かと鍛えられたし、人間的にも大きく成長しました。これからの季節は暑さも厳しくなりますが、お互いに頑張りましょう!!」
 という意思表示でもありますが、半年以上にもわたった「特別な体験」を経て成長したニルスのバカンスは、非常に和やかな雰囲気のものになる事でしょう。

 今回のイラストでは、ニルスと、ハムスターのキャロットもさる事ながら、双眼鏡、バックの蒼穹を飛ぶ雁と雲、地面の草地と繁みにも、出来る限り力を入れましたから、気に入って頂ければ幸いです。

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2016-05-10 03:00:01 +0000