◆人形館の安息日【illust/54961214】引き続き参加させていただきます。よろしくお願いします。
◆名前:ブランシュ 第一場面illust/55578542 第二illust/56137066
性別:女 身長:138cm ココロのカケラ:3
《 予感:6.憧憬 たいせつなもの:8.面 おもいだしたもの:8.植物 ギフト: 確信: 》
◆行動方針:恐怖と悲しみの感情が溢れ出てどうしようもない様子。一人でぐるぐるしている。
敵(妨害してくる着ぐるみ)に屈するのは心底不本意だが、記憶など思い出さない方が良いのではないかという迷いも生じているため、おぼつかない足取りで逃げ隠れしている。
◆ココロの共鳴
第一場面:Q(ユーリ)さん【illust/55606677】(予感:2.逃避)
「もしかしたらユーリはずっと先に進んでるかもしれない。ブランは足が速くないからきっと追いつけない。
...ユーリ、迎えに来てくれないかな。」
「ユーリのたいせつは何だったんだろうって、最近よく考える。
ユーリはブランを待ってくれて、たくさん助けてくれた。ブランはユーリのために何かできた?」
第二場面:マリクさん【illust/56160128】(たいせつなもの:9.鏡)
「マリクが言ってた『欲しくない』、今なら分かる気がする。
マリクもこんなに怖かった?...ううん、怖がりなのはユーリの方。マリクは違う。マリクは...やっぱりよくわからない。」
「マリクは追いかけっこ嫌いそうだけど、きっと捕まってない。
マリクはブランより器用で、いらないって言いながら上手く出来るから悔しかったの。」
◆第三場面ココロの共鳴(5/18素敵なご縁を頂きました!)
広い世界へ導いてくれる方。リータスさん【illust/56909316】
「私、誰?わからない...ブランはブランじゃなかったから...。本当の名前、思い出せない。
...ううん、思い出さなくて、いい...怖い、から...。」
「...? 嫌じゃない。リータスの手、あったかい」
「ブランのたいせつ、たいせつのままで良いの?欲しいは、間違いじゃない...?」
「ブランも会ったよ、此処で。ユーリとマリクに。どっちもリータスより大きかった。
ユーリは優しくて、ブランがユーリに酷いことした時もすぐに許してくれた。一緒に探し物をしてこのお面を見つけた。
マリクはあんまり動かなかったけど、悪い人じゃない。絵の描き方教えてもらった。いらないって言ったからクッキーとお茶はブランが貰った。」
「リータスはブランが傷付くと悲しい顔をする。リータスが悲しいとブランも悲しい。
だけどリータスが怪我するのも嫌。ブランは戦いたい。」
「知りたいと思った。此処を出て、色んな場所に行ってみたい。色んなことやってみたい。思い出すのは怖いけど、楽しいもきっとあるって思えた。
リータスが教えてくれた。だからリータス、ありがとう」
( こわい。かなしい。くるしい。くやしい。 どうして私が...? )
自分の身に起きたことを少女はすぐに理解出来ませんでした。
流れ込んでる記憶の破片と負の感情に飲み込まれそうで、思考もままならなかったのです。
その間にも、こちらの意志など関係なしに追いかけっこが始まります。
何が怖いのか、わけも分からないままふらつく足で逃げ出しました。
その青年との出会いは唐突で、気が付けば手を引かれて走っていました。
着ぐるみから逃げ切ると、青年は少女に話しかけます。
けれど少女は上手く答えることができません。
会話が成り立たず困りながらも、青年は少女を見捨てませんでした。
頭を撫で、優しく話しかけ続けます。次第に少女は落ち着きを取り戻していきました。
一緒に逃げながら、少女と青年は互いの話をしました。
この館であったこと、感じたこと、思い出した記憶のこと。
青年はとぎれとぎれながらも、体験した冒険の話を聞かせてくれました。
湖の底に沈んだ街を見に行った話や崖を登っていたら巨鳥に咥えられた話、一緒に冒険した“誰か”が居たこと―――。
それは少女が考えもしなかったものでした。
思い返せば、目覚めてからずっと自身の心に囚われてばかりいました。
彼の話す輝きに満ちた世界を見てみたい、驚くような冒険をしてみたい。
少女は未知の世界に憧れを抱くようになっていました。
あるとき、青年が着ぐるみを倒そうと提案します。
少女もそれに同意し一緒に戦おうとしましたが、少女には戦う術がありません。
結局青年は少女を背に、一人で着ぐるみに向かって行ってしまいました。
少女は言われた通りにする他なく、しばらく物陰に隠れたままじっとしていました。
けれど倒しても倒しても着ぐるみはまた起き上がります。さらに戦いの音を聞きつけたのか、着ぐるみがどんどん集まって来ているようでした。
(このままではリータスが危ない!)
そう思った少女はいてもたってもいられなくなり、手近にあった花瓶を手に取ると着ぐるみに向けて投げつけました。
けれど花瓶が届くことはなく、手前の床で大きな音を立てて砕け散ります。
音に反応し少女に気付いた着ぐるみたちが向ってきます。あっという間に少女は着ぐるみに取り囲まれてしまいました。
気付いた時には少女は青年の腕の中に居ました。体のあちこちが痛くて思うように動かせません。
見上げると、青年が不安そうな顔で覗き込んでいます。
青年の温かさと悲しみを含んだこの眼差しを、少女はよく知っている気がしました。
前にもこんな風に見てきた人が居た。大切にしてくれる人がいた。
それが誰だったのかはまだ思い出せません。けれど、とても大切な人だったのでしょう。
しばらくじっとしていると、いつの間にか痛みが引いていました。
怪我とはこんなにも早く治るものだったかと不思議に感じながらも、それならそれで良いかと起き上がります。
相変わらず青年の表情は硬いまま。
そんな顔をさせてしまったのは自分のせいなのだと分かりきっていました。そしてそれが、なによりも悲しかったのです。
少女は勤めて明るく言います。気ぐるみを倒しに行こう、と。
( ブランは大丈夫。大丈夫だから、もうそんな顔しないで―――。 )
守られる安心感と大切な人が傷付く恐怖を知った。
新しい『夢』を得た。
2016-05-03 14:51:07 +0000