昔々、器量の良くない不幸な遊女がおりました。
実家が貧しく花街に売られてきた娘は、年頃になってもいつまでも下働きをさせられて客を取れずに大層困っていたそうな。
娘を雇っている遊郭も客の取れない遊女を雇う金も無い。そんな折、遊郭の女将は不細工な娘を呼んで医者に向かわせました。不細工は西洋の医学の力で治せると医者の評判を聞いたからです。
医者は見事に娘の顔と体を美人に作り替えました。
美しく生まれ変わった遊女は晴れて客が取れ、美貌と評判を聞きつけた客がたちまち集まって人気が上がります。
刃物と針と糸さえあれば、魔法のように容貌を変えられる事を知っている遊女は更に医者に要求します。「金は出すからもっと美しくしておくれ」大金を積み上げて医者に整形手術をさせ、成功。
そして更なる美を手に入れた遊女はついに花街で一番の花魁に成長しました。
しかし、作られた美は長く続かず、定期的に手入れをしなければいけませんでした。また医者に金を積んで手術を頼みました。「もっともっと美しくなりたいの」手入れだけでは物足りず、更なる美を手に入れたいのです。
遊女は美しくなる手術をすれば満足かというと、その瞬間だけ満たされるのです。
医者は言います。「これ以上は手の施しようがない」と。
整形を断られた遊女は、刃物と針と糸さえあれば、美しくなれる事を知っています。彼女は自ら手を入れて納得のいく顔を手に入れようとしました。
欲のあまり、自分を見失うのは愚かな事。
技術が素人の女は、美に渇望するあまり顔を失い自ら命を落としたのでした。
「ああ、そんな事があったねぇ。何年か前にその遊女の死骸を取り込んでからかねぇ、小生が目まぐるしくまともな肉体になったのは……」
※アサギの口調はベースになる肉体によって若干変わっていきます。
視える人には男の傍に生首がある事がわかります。もっと視える人や妖怪は遊女が居る事に気が付きます。
男は同郷の民の前ではツクヨミillust/55775184に戻りますが、普段はアサギと名乗っています。
ぬばたまがある檜扇座illust/56433016に身を置きながら医者としても働いています。檜扇座ではテーブルマジックをで観客を和ませます。
▮お付きの看護師
子鬼女房illust/56190670
名前:おさの
年齢:「乙女に年齢を聞くのは失礼でございますよ」
アサギの傍にいる遊女もちゃんとよく見え、アサギを「旦那様」と呼び、遊女は「奥様」と呼ぶ。アサギの以前の姿や素性を知らずに奉公に来ている。
遂に最終日! 最後まで楽しみましょう♪
タグ、サイドストーリーと悩みますが、一応【百鬼魍魎楽行脚】illust/55649076のキャラシです。
▮素材お借りしました
筆文字ロゴ illust/55643854
No.001 - 桜 illust/22120028
*彼岸花と葉 illust/50085994
和風花柄※透過済 illust/14615281
大道のブログ→http://mecuru.jp/blog/tsunamin273/10450(創作裏話たんまりあります)
2016-04-30 16:51:03 +0000