<キゼンむかしばなし>
キゼンのどこかにある小さな村のお話です。
そこには一本角の鬼達が住んでいました。
彼らは虹曜石illust/56283205を掘り、産火石illust/56129326を作る事で生活をしていました。
掘り出した虹曜石は一族の長に火の祝福を授けてもらい、産火石になります。
つまり、火の祝福を授けられる力を持った者が長になるのです。
長になれる者は二本の角を持っていました。
けれど、ある時、二本角の子が二人産まれてしまいました。
二つの家は、火の祝福が顕われるまで何度も争いを繰り返しました。長になるのはどちらの子か?
子供達は、大人達の争いを身を縮めながらただ息をひそめてやり過ごしていたのです。
火の祝福の力は、片方が10歳になった頃に一人だけに顕れました。
もう一方の家の者はそれに憤り、その子の角を一本、切り落としてしまいました。
切り落とした瞬間火の力は一気に吹き出し、村を火の海に変えてしまいました。
暴走する火の力は誰にも抑えられず、村を焼く火はどうやっても消すことが出来ません。
一人が思い立って何とかもう片方の角を切り落とすと、火は段々と消えていきました。
その子供は村を追われました。
報復を恐れた村人達に、親に、一族に、キゼンに入る事すら禁じる強い呪いをかけられて。
その子供は途方に暮れてあてども無くさまよいました。
争いの気配を感じると無意識のうちに修羅と化し戦場を荒らしながら、長い、長い間さまよいました。
その後その子供がどうなったのかは、なぜかだあれも知らないのだとさ。
クラナシillust/55669757
2016-04-29 19:18:17 +0000