こちらの企画【 きみと暮らせば (illust/55554290)】に参加致します。
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「そんなに広いってわけでもありませんが。まあ、ご自由に」
「誰かに料理を振る舞ったのは久しぶりだからでしょうか……張り切りすぎたようです」
「図書館はいい所ですよ。僕に会いに来るのでも構いませんから来てみて下さい…なんてね」
🏠 錐谷 彰貴(きりや あきたか) 29歳/図書館司書/一人暮らし
とある図書館に勤める司書の男性。ジャンルを問わず本が好き。
落ち着いた性格で、どんな相手に対しても常に敬語で接するため
やや近寄り難そうなイメージを周囲から持たれがち。
料理が得意で腕もそれなりだが振る舞う相手が特にいない。
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🏠 04/21 - 素敵なゲストさんをお迎えしました。ありがとうございます!
山吹 海弦くん【illust/56433281】
閉館時間を迎えてひっそりと静まり返った図書館の中、片付けをしていた時のこと。
文庫本コーナーにあるソファーでひとり、ぼんやりした様子で座っている男の子の姿が見えた。
これから借りるつもりなのだろうか。放っておくことも出来ず、そこへ向かった。
「こんばんは。大変申し訳ないのですが、もう閉館時間を過ぎていますので……」
「そういった事情がお有りでしたか。しかしこのまま居ても閉められてしまいますし…
ここでの寝泊まりも許可できませんから、行くあてがないならとりあえず……僕の家で良ければ来ますか?」
我ながら唐突な提案だな、とは思った。
相手が女性であればこのような提案は出来なかったが、彼くらいの年齢の男性なら。
空き部屋と食事、その他も提供出来るため泊まるのは何日でも特に問題ない。
代わりに家事は手伝うこと、その条件をつけての提案だった。
「おそようございます、海弦くん。起きてください。…あっ、寝ないでください!起きて!」
「君が来てから食事も作り甲斐がありますし、嬉しいです。誰かと食べるのはやはり良いですね」
同居人のいる生活は、以前の生活よりもずっと楽しいものだった。
出会ったばかりの頃は不安そうな様子の多かった彼も、今ではほとんどその様子は見られない。
彼は少し不器用なところもあるけれど、家事にも興味を持ち率先して手伝ってくれる。
楽しそうなその表情を横で見る度に、恋人が同居していたらこんな感じなのだろうか、そう思った。
「どうしました、こんな時間に……眠れませんか?
え、一緒に?……その、かなり狭くなってしまうのではと思いますが、それでも良ければ…」
「海弦くん……?起きていたのですか…おはようございます。早いですね…」
「あ、あの…海弦くん、何して…?―――うわっ…」(勢い良く布団を被せられる)
今の生活も、ずっと続いていくものではなくて。
いつかはお互い元の生活に戻る時が来る…かもしれない。そう考えると少し寂しくなるけれど。
自分はいい歳をした大人だ。思っても口には出さないでおこう。
(もう少しだけ、この生活が続いてくれたら…そう思ってしまいます。海弦くん)
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2016-04-11 08:14:35 +0000