素敵な企画元様【illust/55554290】
「まあまあご飯でも食べていきなさいよ。ダメだよー食は大事なんだから疎かにしちゃあ」
◆間崎 咲良(マザキ サクラ)/26歳/180㎝/AB型/レストランオーナー兼シェフ
長兄は実業家・次兄は外科医・すぐ上の兄は獣医というエリート一家の末っ子。
両親が早く身罷り、長兄の稼ぎで育ったが上が全員家事が苦手なメンバーだった為、必然的に家事スキルがガンガン向上。中学卒業時にはカンストしていたという悲しい過去がある。おかげで同級生と遊びに行く時間もなく、学校終わったらスーパーのチラシを握りしめて近所のおばちゃん押しのけてセール品ゲットという青春時代を過ごしたという経緯があるので、年下の特に学生さんには当たりが優しい。
レストランの奥から繋がる戸建てに一人暮らし。
独立してそれぞれ一人暮らししているはずの兄が入れ替わりごはんを食べに来たりするので、一人暮らしだけど微妙に一人で暮らしてる気がしない苦労性。
お仕事がお仕事なだけにごはんは美味しいです。専門はイタリアンだけど和洋中なんでも作れる。
自宅ではあまり吸わないので室内でたばこの臭いはあんまりしません。
※追記……極度のブラコン。
4/19素敵な同居人さんをお迎えしました!!
友梨 藍さん【illust/56367648】
昔からやんちゃ過ぎる兄貴の所為で厄介ごとには慣れっこで、妙に鼻が利く自分がちょっぴり悲しかったりする。
けれどその「勘」が良い方に聞く事もままあるわけで…
閉店間際の店先、空腹なのかお腹にそっとあてた手が小さく震えていた。
ぱっと見ちょっと元気すぎる子なのかなって感じはしたんだけども、なんだか捨てられた猫みたいで。
それも手負いの野良猫みたいで。
「……お腹空いてんなら、寄ってく?ああ、もう店閉めるから出せるのは賄いになるけど」
なんてつい誘ってしまったりした。
年を取るごとに増える煙草の量に、ああこれはもうプロとして厨房に立っちゃいけないななんて決意して、深夜の賄いや上客のリクエストでしか握らなくなった包丁を握る。
あの様子では長い時間まともに食べてなさそうだなんて思いつつ、玉ねぎを刻む。
フライパンを熱してバターを溶かした中に刻んだ玉ネギとご飯を入れて軽く炒めて…ふと思い立ってブイヨンとミルクを足す。コトコト煮込む間におとっときの食材の下処理をして、煮上がる直前に豪快に放り込む。あとは深めのお皿に盛って、パルメザンチーズと黒コショウ、イタリアンパセリをのっけて…
「ちょうどよかった。折角新鮮な牡蠣を取り寄せたのに無駄になっちゃうとこだったんだ」
笑ってその子の前に置いたのは、牡蠣のミルクリゾット。
深夜に食べるには少し重いけれど、まあご愛敬だ。
びっくりして目を丸くするその子におまけとばかりに小さなパンナコッタのお皿もつける。
店長かわいい子には甘いのねー鼻の下伸びてるわよなんてバイト君の野次が飛ぶけれど、この際無視しておこう。
「ゆっくりお食べ。食べられるとこまででいいから」
何か事情がありそうだなーって思ったんだ。
だってどうみてもまだ大人になり切っていない女の子。しかもかなり可愛いし、少ない所持品はどうやらそこそこ値が張りそうなもので。かつ本人がそれをなんとも思ってないとくると。
家出かな。
最初に思ったのはそんな事。
でも、さっさと賄いを胃袋に流し込んでそんじゃー帰りますーなんて挨拶しにきたバイト君がふと立ち止まり俺に耳打ちする。
『その子こないだ少年院から出社した殺人犯ですよ。冤罪だったらしいですけど。ニュースに出てました】
て。
うーん困ったなーなんて曖昧に返したけど。
殺人犯ねえ……
ぼろぼろ大粒の涙流して、ちょっとずつごはんを口に運んでるその子の姿からはどうにも想像できない。これでも色々見てきたから、笑いながら人を傷つけられる下衆が居るのは経験上知ってるけど、だからこそ「ああこの子は違うな」って思ったんだ。
同情とか下心とか、そういうんじゃなくて。
なんだろうなあ。保護欲?庇護欲?
まあ名前はなんだっていいんだけれども。
「友梨藍さん、でいいのかな?」
問えばびくりと肩が揺れた。
下から見上げるように向けられた視線は強い。
「まあまあそんなに睨みなさんな。俺はここのオーナーでね。隣に自宅を構えてる。弟離れできない兄貴がしょっちゅう押しかけてくるから、そこそこ部屋は多いし、鍵もかかるんだけども。もしよかったら一晩泊まっていかないかい?」
だってこのまま放りだしたら、俺のなけなしの良心が痛んじゃうから。
一応、一応ね。こう見えても人を見る目は確かなんだ。
この子は何もしていない。
笑いたければ笑えばいい。
理屈も証拠もないけど、俺がそう思ったんだからそれでいい。
何か色々面倒臭そうな事情もあるんだろうな、これは、なんてのもちらりと頭の端を掠ったけども。
まあなんとかなるでしょう。
今までもそうだったし、これからもそうだろうし。
何しろ俺にはやんちゃ過ぎて頼り甲斐のありすぎる兄貴が三人もいるからね。
多分なんとかなるし、するでしょ。
だから、そんなに怯えなくていいよ。
拾った猫は最後まで面倒見る主義だから。
「うーん実はうちの従業員、大なり小なり事情ありでねー君一人くらい増えても痛くも痒くもないというかなんというか…まあ雇ったからにはちゃんと働いてもらうから、そのつもりでね?」
数日寝泊りさせて様子みたところ、どうやら俺の目は確かだったらしい。
さすがに表だって働いてもらうのは本人も嫌みたいだったから、電話番から初めてもらったのだけど、よほどしっかりしたおうちのお嬢さんだったようで、立ち居振る舞いも口調も全く問題ないし、むしろ今までの子と比べたら花丸満点あげたいくらいだし、何より裁縫が好きで得意だといった。
幸い結婚式だの二次会だのを予約してくれる方も居たりして、ドレスの補正や小物作成なんか頼んでみたんだけど、やっぱり女の子だ。センスがいい。
これは末永く勤めてもらえるかもしれないなと、打算と期待が入り混じる。
いや、俺ロリコンの気は無いんだけどね。
本当なんかもういたたまれなくて困るんだけど!
でも、まあ、ほらねえ。
やっぱり拾った猫は最期まで面倒みなきゃ、ねえ?
「リゾットくらいいくらでも作ってあげるから。好きなだけここに居るといいよ」
多分あと少しで、この感情に名前がつくだろう。
そんな気がした。
不備等見直ししましたが、何かございましたらお声かけくださいませ。
良きご縁がありますように…!
置き逃げツイッタ【twitter/kayako777】
2016-04-07 22:37:49 +0000