オーバー・ザ・カーマンライン

「俺は冷戦時代に実験機X-15に乗ってたんだが、ある日に高度百キロのカーマンラインを突き抜けて定義上の宇宙空間に飛び出したことがあった。何かの線を越えたような感触が全身に広がり、俺は高度計が高度百一キロを指しているのを確認して喜びの声を上げ、蒼い大気を湛え眼下に横たわる地球を見下ろした。空は恐ろしいほど黒く、ずっと見ていると気が狂いそうだったな。すると、恐ろしいことに突如横に飛行機が現れた。今にも消えそうな、まるで亡霊のような飛行機だった。その飛行機は胴体にロケットのようなものを抱え、機体には日の丸らしきものも描かれていたな。俺は唖然とした顔でその亡霊を見つめていた。そして高度を百キロより下に下げた瞬間奴は消えた・・・恐らく、あれは旧日本軍の亡霊だろう。いやはや、宇宙ではどんなことが起きるかわからんな」