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夢境仁本物語【弐】【illust/52333018】
近所の家にまつわる妙な噂がある。
ここから見えるあの大きな家。家主が願いを叶えてくれるのだと、昔から流れては消え、生まれてきた噂話。
私の周りの老人は、あそこには人形神が憑いていると忌み嫌っているが…。
それを信じていないのか、気にしていないのか、あの家に尋ねる者は昔は多くいたらしい。
人には誰かしら、大きい小さいにかかわらず願い事をもっているもの。
興味もあって、あの家を訪れることにした。
家を目的に道を進めば、その前には女が一人。
空を覆う分厚い雲を見つめているようだった。足音に気づいたのかこちらを振り向く。
とても冷たい目のようだ。ぞくりとしたが次の瞬間には小さな笑みを浮かべている。
噂のことを聞いてみればそんなことはあり得ないという。ああ、なんだ、やはりただの噂だったのか。
「キミの願い、叶うといいね」
女は静かに微笑んでいる。まるで人形のようだ。
「ここは危ないです、お帰り」
陽が差し込んだ。眩しくて思わず眉を顰める。
「あの子は 私が閉じ込めちゃったの」
小さく女が呟いた。何を言ったのだろうか？
「ね、ホラ」
女は傘を差したまま微笑んでいる。
「雨も止んだようですし」
◆結（むすび）
女/？歳/156㎝/半妖（烏天狗、人、化け狐、雀・白澤・夜雀・病猫鬼・骨女）
一人称：私 二人称：キミ
「私は結と申します。父が薬師で母が人形師…祓屋も兼ねていたそうですが」
「どんな御用ですか？キミの望むモノになってみせましょう。……薬師は、半人前ですが…」
様々な妖怪の血が混じった半妖の女。
陽に弱いため雨が降る降らないに関わらずいつも傘を差している。
小さな笑みを浮かべており、ボーっとしているのか常に反応が鈍い。
それに加え忘れっぽく、誰だっけ？となることもしばしば。
「…初めまして じゃなかった？……ごめん」
薬師についてはまだまだ半人前。病を撒くことはできるが使ったことはない。
どちらかというと祓うこと、人形を作ることの方に長けている。
父のような優しい人に、そして祓屋になるのが夢。できれば人形師や薬師も兼ねていきたい。
「勉強すること、たくさんあるね。あんまり頭がいい方じゃないから…」
感情がひどく薄く、喜んでみせたり怒ってみせたり哀しんで見みたりしているものの
それらはほぼ演技に近い。
幼いころは感情表現が豊かであったが
自分の代まで続いた人形神を、無理やり祓い封じたために
その代償として何に対しても鈍い反応しか示さなくなった。
あの女はなんだか気味が悪かった。
ただ微笑んでいるだけで、そう、まるで人形のようにそこには何もこもっていないように見えた。
ここは危ないと言っていたが ああ果たしてそれは、人形神のことだったのだろうか…。
嬉しいときに喜んで
腹が立つときに怒ったり
泣くほど苦しいときに哀しんで
心が躍ることあったら楽しんで
愛しい誰かを愛して
そんな、簡単なこと。
「私は、うまく笑えているかな」
母がしんだとき
父は泣いて哀しみました。
兄も泣いて哀しみました。
私は。
私は、泣きませんでした。
心に穴が空いたような、そんな気はしましたが、それだけでした。
母が死んだ日の記憶は、少しずつ薄れているような気がします。
それすらも、怖いと思えずに 慣れてきてしまったなんて、…酷い子だと皆は言うのでしょう。
父︰幾望さん【】
母︰いちえ【】
きょうだい︰【】
兄︰繋【】
今世代も種族問わず素敵なご縁があればうれしいです。
ありがたくも申請を頂いた場合は３日以内に返信しますので、連絡がないという方はお手数かけますがご一報ください。
最後になりますが、ここまでご縁を結んでいただきました文鳥様、sk様、石動様、柚音様、本当にありがとうございました！
ご一緒させていただきました参加者様並びに主催様、お疲れ様でした。有難うございました。
あの子【】「おやすみ、お人形さん」
誰かが生まれたら喜んで
嫌なことがあったら怒って
誰かが死んだら哀しんで
誰かと一緒に楽しんでみて
愛しい人を愛してみるの、
きっと、簡単なこと。
いつか いつか、叶うといいな
「キミのことは、忘れたくないかも しれない」
「ニャア……なーんてね」
2016-02-26 20:28:17 +0000