ルクスとバルゼリットの決闘はルクスに軍配がくだった
「くそぉおおーーー!!こ、この私があんな小僧に・・なぜだぁあああー!!」
「バルゼリット卿・・・あなたもそんなすごい腕を持ちながら、女の人を産む道具などと・・どうしてそんな事を言うんですか!?」
「ハッ!・・私こそ、国王になるべき存在だぞ!!それの何が悪いのだ!?」
「あなたという人は・・・!」ルクスは剣を握りしめた
「ならば殺せ!!このまま辱めを受けるくらいなら とどめをさせ!!」
だがルクスは剣から手を離した
「僕は・・人を殺したくはありません、たとえ、あなたのような人でも・・・あなたもドラグナイトなら、心を入れ替えて、これからはまっとうに生きてください」
「フフフ・・・きれいごとをぬかすな小僧!!殺せぬのか?腰抜けめ!聖人ぶってはいるが、所詮貴様はその程度だ、今日は負けておいてやる、私を殺さなかった事を必ず後悔するぞ!!必ずな!!」
「後悔するのはあなたのほうじゃなくて?あなたの言ったこと、全て録音させてもらったわ、これを大法廷に出したらどうなるかしらね?」クルルシファーは手から録音機を取り出して見せた
「フン・・・好きにするがいい、言っておくがなクルルシファー、お前は私の子を孕む女だ いずれお前のほうから私の妻にしてくれと懇願してくるだろうからな、今のうちにせいぜい自由を謳歌しておくんだな フハ、フハハハハハハハー!!!」
「うるさいぞ!!」
全員が振り返ると、廃墟の中から人影が出てきた
「人がいい気持ちで寝てたのにドンパチにぎやかにはしゃぎやがって、てめえらは空気を読みやがらねえな!!」
その人物は妙な形の帽子をかぶり、マントを羽織っていた
「ぶ、無礼者!!下郎めが!!私を何と心得る!?恐れ多くもクロイツァー・・・」
男は剣を抜いて柱を切った
その切っ先がバルゼリットの胸を貫こうとした
「危ない!!」
ルクスがとっさに柱をはじいた
「さっきから聞いていたが、こいつぁ人間のクズだぜ、なぜそんなやつをかばうんだ?」
「どなたかは知りませんが、僕はむやみに命を奪うやり方は嫌いですから!!」
男はかすかに鼻で笑ったようだった
「甘いな小僧、どうせこんな野郎は死ぬまで心を入れ替えねえ、だったらここで始末してやるのが功徳ってもんだぜ おめえだって、そうそうきれいごとを言えた身分じゃあるめえ、あの近衛団長やこいつもそうだが『駒』ってのは、実に哀れなもんだからよ・・・」
「駒・・・!?」
そういうと男は剣を収めると 口に長い針のようなものをくわえた
その時に口からは物寂しい風のような音が流れた
そして男は背を向けて去っていった
「あ、あなたは・・・!?」ルクスは男を追いかけようとしたが
クルルシファーに気が付いて 慌てて彼女に駆け寄った
「大丈夫ですか!?クルルシファーさん!!」
「私は大丈夫、それよりアルテリーゼをお願い・・・」
「は、はい・・・!!」
クルルシファーは口をパクパク開けたまま、無様な格好をしているバルゼリットに向けて憐れんだ目を向けた
「あらあら、その程度の事で股間から温泉を沸かせる殿方に 私の大切な『処女』はやれなくてよ?・・・それにしてもこの男の余裕はどこから来てるのかしら?今回の事だって、この臆病者が一人で計画したものとは思えない、何か背後に巨大なものが糸を引いてる可能性があるわね・・・」
2016-02-21 12:49:09 +0000