終わり

いじゅは

彼女が見つめる先にある道は曲がりくねっていた。
曲がった道を踏み外さないことだけを頭に入れ、目的が分からないまま彼女は歩いて行った。
道には何もない。
石ころひとつ落ちていない。
たまに空から落ちてくる木の実を食べながら、彼女は、ただただ歩いた。
そして歩き疲れた頃、ようやく最後までたどり着いた。
でも、やっぱりそこには何もなかった。
今まで歩いた道と同じように、何もなかった。
するとそこへ空から手紙が降ってきた。
天国にいるお母さんからの手紙だった。
その手紙の内容はこうだった。
「ゴールおめでとう。幸せな道のりだったことでしょう。あなたには、私のような苦しみを味わってほしくなかったから、無事、あなたがここにたどり着けてよかったわ。本当によかったわね。」
彼女は手紙を大事にしまった。
お母さんが死んでいたことも、この時初めて知った。
でも、彼女は泣かなかった。
涙が出てこなかった。
でも、彼女は優しい性格なので、手紙を破り捨てることはしなかった。そしてこういうのだ。
「よかった…お母さんと違って、あの子は今頃、きっと充実した道のりを歩んでいることでしょう。もう、私のような苦しみを、味わってほしくないからね。」

#人生#road#hikaru#girl#sky

2016-01-21 16:11:33 +0000