姉貴が「女の子はおしゃれしなくちゃ!」とか言いだして、祭りに出かけようとしていたユチカを着替えさせた。
なんかいつもと雰囲気違ってて。着替えたそいつの姿を見た途端頭が真っ白になって、意味わかんねえくらい心臓がうるさくなった。
あーちくしょう、何なんだよこれ。『アイツ』を初めて見た時より、すげえわけわからなくなる。
あんなの、あの時だけかと思ってたのに。ついアイツを直視出来なくて、歩くスピードが速くなる。
女は嫌いだった。いや、今でも嫌いだ。
いつもへらへらと笑って、俺が何言ったって傍をついて回って。
なのに――ああほら、また俺の後ろをついてこようとする。祭りで人通りが多いから、はぐれそうになっている。
待ってくださいと、澄んだ声が俺を呼ぶ。
…………うるせえよ、バカ。
アイツを直視できない。けど、俺がこいつを放っておけるわけもなく。
今日だけだ。今日だけ。そう思いながら、アイツの手を引っ張った。
……だから嬉しそうに笑うなよ。馬鹿野郎。
こちらの流れ【illust/54243886】からユチカちゃんを御着替えさせていただいていざお祭りへ!というイメージです。
純粋で可愛らしいお姫様:ユチカちゃん【illust/53315298】
素直になれない本物の馬鹿兎野郎【illust/53727379】
2015-12-26 13:21:58 +0000