「負けたのか……あーあ」
ヴィラルバル帝国敗北の報を聞いた、元帝国更生施設の職員ミグツァードは落胆した。
「……どうすっかな……死ぬか……」
自決を決意し自分の喉元に右手の爪を添えようとしたが、思い止まる。
まだ親友のリルシェルに会っていない。
帝国特殊部隊ネア・ノワールに所属していたが、部隊が壊滅して以降、行方知れずだ。
せめて死ぬ前に一目会いたい。死体でも構わない。
「リルの奴は、どこに居るんだ……死体でも見付けない限り、死んでも死にきれ……」
『……ミグツァードさん』
「ん? ……う、うわ!?」
驚愕するミグツァード。
現れたのはネア・ノワールの隊員の二人――の霊体。
穏やかな青い光に包まれ、ミグツァードに話しかけていた。
「お前ら、リルシェルの同僚、だよな」
ミグツァードは隊員のゾロアークとピカチュウに見覚えがあった。
親友と同じ小隊に所属していた二人でミグツァードとも面識があったのだ。
『……リルシェルを助けてあげて下さい……』
『このままじゃ……リルシェル、こわれちゃうよ……』
「え? ど、どういう事?」
二人の霊体はミグツァードに仔細を話す。
リルシェルが青龍会の米原竜鮫によって魂を奪われ操り人形にされ、都合の良い手駒にされている事。
その米原が戦没者や各地の生者の魂を無差別に集めている事。
「な……あいつそんな事になってんのか!?」
『僕達は何とか米原の手から逃げられたけど……リルシェルは魂を分霊球に封じられちゃってる』
『……このままじゃリルシェルの魂は消滅してしまうでしょう』
「……教えろ、米原ってのはどこに居る」
ミグツァードは霊体の二人に米原竜鮫なる人物の居場所を訊く。
彼は今より友を救いに行くつもりであった。
友を救うまでは、死んでなるものかと決意を新たにした。
◆◆◆
四章中恐らく適当にウロウロしていたと思われるミグツァード。
親友が操り人形にされたと聞き、助けに行こうと決心します。
死のうと思っていたようですが親友を助ける為もう少し生きるようです。
ちなみにですます口調がゾロアーク霊体、一人称僕で子供っぽい口調がピカチュウ霊体です。
問題あればご一報下さい。
操り人形にされた親友【illust/53411576】
人形化の展開【illust/53403461】
ミグツァード【illust/51785599】
2015-12-13 14:35:20 +0000