【仁本物語弐】浮竹【第参世代】

空閑
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「やあ おにーさん、おねーさん。最近、どんなことがここいらで起こっているか 私におしえてくれませんか?」
「(嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だこわい、全部知らないと何を思われてるか何をされるか分からない怖い)」

 「 何でも知ってるからどうか棄てないで 」


   仁本物語弐 - illust/52333018
  20151214*素敵なご縁を賜りました


🔻旱 浮竹|ヒデリ ウキタケ|23歳|半妖|男|182cm|

一人称|私、此
二人称|君、お前
└父|浮明:illust/53522279/母|松江:illust/53356366
「仲睦まじく なにより。籠のなかは しあわせばかりで 良いですね」

└妹|汨江:illust/53909930
「しず もっと笑えばいいですよ。きれいな顔なのに けわしい顔ばかりじゃあ もったいない」

└弟|公明:illust/53909962
「あけの言葉 私はすきだけどな。あまり 女遊びは だめですよ?」

🔻父に倣い記者をしている男性。
背が高いがやせ形でひょろっとした印象を受ける。
父とは違いぼんやりとしており話し方も何処か幼く記者に向いているとは言い難いが情報収集の能力は父に勝る。
穏やかな表情と話し方だが、フットワークが軽いわけでなく広く浅い付き合いよりも一期一会とでも言いたげな人間関係の取り方をする。
一度見たものは絶対に忘れない、病的な性格から張り付いた記憶能力。
人間の血が一番強いために、狢としては尻尾しか生えておらず、またお歯黒べったりのような見目にはなれなかった。
その為か、生まれつき右目がなく、半端な存在である自分を「不良品」と思っている。
狗神とは彼いわく「トモダチ」らしい。
探偵業をしている妹弟の所にはよく顔を出しては情報提供をしたりもらったりして、仕事兼プライベートな会い方をしている。

本当は普通に話せるし考えていることも様々。
一つのものに執着し、独占したい心は父よりも強いがそれは「手にいれたい」というよりも「自分を見てくれる唯一の人」として。
人よりも浮竹に優しくすればすぐに目をつけられる。
そしてその唯一の人に棄てられないために何でも知ろうとする。
失望される、棄てられるかもしれない恐怖が強く、それが情報収集力に助力している。
自分を見てくれるなら、棄てないでいてくれるなら何でもするし何でもいい、愛が足りない子供。
棄てられないためにぼんやりした自分を演じて生きている。

 「ずっと胸がズキズキして痛いんだ、泣きたくなっても何が足りないかわからなくて、また焦るんだよ」
 「此は此で充分、不良品には物扱いすら烏滸がましいけれど」



  唯一の存在理由|緋澄さん-illust/53975261

いつも通り声をかけた相手は何だか明るくて快活でとても眩しくて。
濁った視界には眩しすぎて思わず目を瞑りたくなるようなそんな女の子。

「笑ってみて」だなんて無茶を言うなと思うし、いつも通りの笑顔、表面ヅラ。
そうすれば「ちがう」だなんて言われて頬を引っ張られて、思わず驚く。

  (ああこの子、なら)

これで何度目だっけ、こう思うの。
どうせこの子も此を捨てて歩いて行くのに、またチンケな自己愛を働かせて。
「僕を認めて」なんて醜い思いを向けて、彼女のことを調べあげて、何でも知った気になる。
一期一会、その時がだいじ。そう思って生きてきたけれど、なんでだろう。
緋澄に至っては、二度あることは三度ある。

 「どうせ 君も、 …お前も。みーんな 同じこと いってましたよ?」

  (一生傍にいて なんて どうせお前も口だけ)
  (なのに 何で 期待させないでよ)


 「…すべて。 そんなの かるがるしくいって いいんですか?あはは」

  (此のこの態度も ぜーんぶもう分かってるのかな)

それなら。

 「じゃあ、お言葉に甘えますよ。緋澄。君の髪も肌も瞳もぜーんぶ此のために存在しているんですから。視線一つ此から逸れるのも許しませんし、骨の髄まで此のもの。ねぇ、緋澄。指きりげんまん
 「此は出来損ないで、必要とする物好きなんてお前だけですよ緋澄。どうぞ、お好きなように。体から心から人生まで全てお前にあげるよ」

蝶を潰さないように捕まえるって難しいんですよ。
だから精々此から視線を外さないで。
お前の存在とその愛で此を満たして捕まえて、そのまま壊してくれて構わないから。
棄てないでいてくれるならば、お前の好きなようにしてくれていいから。

 「緋澄、緋澄。此だけの緋澄。 "愛してる"

"愛してる"の言葉を鎖にして、外れないように。



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2015-12-08 19:00:11 +0000