彼女の赤い目は優しくも強い光を持っていた。
先の戦闘で、彼女の意志は十分に伝わった。
迷いを持つ今の自分には、到底勝てるわけがなかったのだ。
自分が本当にしたいこと。答えはもう、決まっている。
「これ以上、この地が傷つくところは見たくはない。だけど、世界が滅んで、この地が無くなるのは……もっと嫌だ」
後ろに飛ばされた枝を取りに行く。地面に刺さったそれを抜き、軽く振る。
小さな火の粉が出た。壊れていない証拠だ。
まだ、戦える。しかし、次にこの枝の先を向ける相手は、彼女ではない。
「オレも、アンタに着いて行く。だが、ひとつ……約束してくれ」
振り向いて彼女を見つめると、彼女もそれに応えるように真剣な眼差しをこちらに向けた。
ひとつ小さく呼吸をして、決意と共に心を落ち着かせ。
「この争いが終わったら、この地を、サードエンドを、また元の美しい大地に戻してほしい」
「それはいわゆる……復興?」
彼女の言葉に小さく頷く。
反乱軍や革命軍と呼ばれた彼女たちを傷つけて来た自分が、帝国軍が言える願いではない。
散々傷つけておいて、と罵られるかもしれないと思った。
怖くて、声が少し震えていた。しかし、こうでも言わないと、これから自国の敵となる自分の立場が許せそうになかったのだ。
「……ええ、きっとまた、元の姿に戻すと約束するわ」
彼女は優しい声でそう言った。
どうしてそんなに優しいのだろうか。一歩間違えば、初めて会ったあの時に彼女を殺してしまっていたかもしれなかったのに。
ーー彼女の返事で、決意は固まった。
必ず戻せると信じている。傷ついた故郷に、平和が訪れる為にも。
今は裏切ることを、許してほしい。
◆
空爆の続く戦場を駆け抜けた先に、全身に炎を纏う狂信者の姿があった。
まだこちらには気付いていないようだ。
「作戦はある?」
「上手くいくかはわかんねぇけど、オレは遠距離からアイツの気を引く。
帝国側だったオレが反逆者となった今、アイツがそれを知ったら……どうだろうな」
彼女が両腕に炎の輪のようなチャクラムをつくり、自分も枝の先に炎を灯す。
準備は整った。さぁ、最後の戦いを始めようじゃないか。
「オレの分まで蹴り入れてこい! 失敗したら絶対許さねぇぞ!」
火の粉が舞い、彼女が駆け出す。
枝の先には狂信者の姿。真っ直ぐに狙いを定め、大きな火柱を放った。
「この世界を、ミウツやアンタの好きにはさせねぇ……ウィクトル!」
◆◆◆
めっちゃ長ったらしいから要約:ウィクトルさんのところに殴り込みに行きました。
こちら【novel/6109723】の続き。
ラテちゃんからのお誘いに乗りました。自分に今できること、やりたいことをやろうとした結果です。
近寄りづらい程の炎を全身に纏っているとのことでしたので、ウィクトルさんの気を引いた隙にラテちゃんに一発かましてもらおうという魂胆です。
遠距離型なので援護にまわるかとおもいます。
これ以降、フラムは帝国側ではなく反乱軍側として動きます。
ラテちゃんと同じZ勢力を支援させていただきました。
不都合等ございましたらパラレル扱い/スルーしていただいて構いません!
問題ありましたらご指摘おねがいします。
ポケクロⅢ、お疲れさまでした!
今回が本編中最後の投稿になるかと思います。
世界が明日を紡いだら、フラムのお話もまだ続きます。よろしくおねがいします。
◆お借りしました
ラテちゃん【illust/51024201】
ウィクトルさん【illust/52807935】
ウェーネくん【illust/52677435】
フラム【illust/51324511】
夢飾り日々ためらいは捨てて
2015-12-05 11:53:18 +0000