ARROWことグリーンアローのスーツを着た水野翠……のつもり。タイトルはARROWのキャッチコピーみたいなものを弄ってみた。
名前と弓繋がりで思い付いたネタだけど、それを完全に絵で表せるような腕は持っちゃあいないのが悲しいね。
※以下あらすじ
芸能界に巣食う闇と言うべき存在に遭遇した水野翠は、それに対抗する手段を求めていた。しかし、人脈や権力や金と言った強大な力を容易く扱う相手に対し、翠の存在はただ弓の扱いに長けているだけの小娘一人……あまりにもちっぽけであり、無力であった。
ある日、翠はライブ終わりの舞台裏で、特別招待枠として観覧していたクイーン産業の御曹司・オリバーと出会う。彼は、素晴らしいパフォーマンスを見せてくれたアイドル達に一言礼が言いたいと、バックヤードにまで押し掛けて来たのだ。クイーン産業は事務所に出資している企業でもある為、スタッフやプロデューサーには止める事が出来なかった。
常に悪い意味で世界の注目を集める、所謂『お騒がセレブ』なオリバーに若干の嫌悪感を抱いていた翠だが、しかし既に彼は嘗て聞き及んでいたようなプレイボーイなどではなくなっていた。言葉や表情の影に垣間見える、何処か憂いを帯びた素顔に興味を惹かれた翠は、翌日、密かにオリバーに渡されていたメモに従い、クイーン産業が港に所有する廃倉庫へと向かう。
古びた外観と人気の無い室内が織り成す不気味さに、それ以上足を踏み入れる事が若干躊躇われたが、意を決して奥へと進む。メモの通りに階段を降りて地下に向かい、数度角を曲がり、孤独感にも慣れ始めた頃、翠の前に一つの扉が姿を現した。頑丈な金属製で、番号式の電子ロックで閉じられている。しかし、メモには扉までの道筋しか記されていなかった。
どう言う事なのか、どうすれば良いのか、戸惑う翠に呼びかける声があった。
それはオリバーの声だった。しかし肉声ではなく、通路内の何処かに仕掛けられたスピーカーから響くものだった。彼の声に誘われるままに、翠は最後の関門とも言うべき扉を解錠し、押し開ける。そして次の瞬間に、彼女は息を呑んで目を見開いた。全てが、彼女の予想を遥かに越えていたからである。
扉の向こうには、それまでの廃墟からは想像もつかない程のハイテク機器が立ち並んでいた。そしてその傍らに立つ者はオリバー・クイーンではなく、緑のフードを目深に被った弓使いの男――スターシティを中心に活動するクライムファイター・グリーンアローだ。そこはバットケイブならぬ、アローケイブとも言うべき秘密基地であったのだ。
フードの奥からオリバーの声がして、翠は意識を引き戻した。アローのマスクを外して正体を明かし、オリーは彼女に告げる。
「事務所の社長より以前から、業界に巣食って若者を食い物にし続ける、正しくヴィランのような連中の事は耳にしていた。君もその餌食になりかけた事も。だが俺は故郷やその近辺を守るので精一杯だ。芸能界の闇を射抜くには、他の誰かが必要だ」
アローが頑丈そうなコンテナボックスを示し、固く閉ざされた鍵を開ける。その中には彼と同じようにグリーンを基調にしたフードとスーツ、そして格闘戦にも向いたベアボウが仕舞われていた。
「君が連中に憤りを抱いている事も知っている。立ち向かう術を探している事も。だから君にコレを渡す。射抜いてほしい、業界の闇を」
翠はほんの一瞬だけ躊躇いを抱いたが、しかし直ぐに首を縦に振って、装備を掴み取った。
こうして、後に芸能界を震撼させる怒れるヴィジランテが一人、誕生したのであった。
2015-11-19 17:42:23 +0000