【千国大河】白き記憶の水底ウィシス水中庭園【第三期】

小梅
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企画元【illust/50050950

「きっとこの海のどこかに、わたしだけの幸せがあるの」

先代:サシャ=マナ【illust/52304727
「心が幸福に満ちたときが、貴女の最期の記憶。貴女は幸福の先に何を見たのかしら」
先代の絆:レイニーアビス/ユウナ・ペラジックさん【illust/52383384
「一度でいい、会ってみたかったわ。でも貴女の瞳を奪ったらサシャが許さないでしょうね」
レイニーアビス当代:シュナ・ペラジックさん【illust/52801504
「シュナ、シュナ。かわいいかわいいわたしの夜色の花。ねぇ、どこにも行ってはだめよ…?
 あなたはわたしが愛して、守ってあげるんだから…」

◆白き記憶の水底 ウィシス水中庭園(国の概要などはこちらをご覧ください:novel/5656766)
 海底に沈んだ水中庭園と神殿に暮らす小さな国。
 先代のレイニーアビスとの絆によって庭園にはウィシスの白い花と神殻の葬花に混じりニースという青い花が咲くようになった。
 神殻から沈められる灯篭にレイニーアビスの蒼炎水花を入れ飾るようになり、庭園をより一層幻想的に照らし出す。
 女神によって管理される絶対幸福は相変わらずだが、人々はレイニーアビスの異なる幸福の形を知り、
 自身の幸福について考え始めるようになった。

◇王 主権巫女 ナナ=マナ(マナは主権巫女であることを表すため、名前に当たるのはナナ)
  >>身長163cm、年齢:(外見年齢は)18、一人称:わたし、二人称:あなた、三人称:~さん、~さま
 先代の主権巫女がある日行方知れずとなったため産み直された新たな主権巫女。
 これまでの巫女たちと変わらず愛情深いが、理知的で静寂と孤独を好む。
 産み直される前の元来の性格ゆえか、これまで通り強い女神の干渉を受けているにもかかわらず彼女自身の意識が強い。
 瞳の色はサクラとトルコキキョウ(グリーン)。

◆素敵な絆を結んでいただきました!
 死薫の山脈・絶淵楼/伯桐覇さんillust/52869385
 それは海と空の境界で始まる問いかけ。 海の底になくて海の上にだけあるもの、それはなに?
 死と孤独の薫りを纏う青年と水底に沈む桜色の娘。答えのない問いかけと出会いと別れを繰り返す二人が至る幸福はどこに?
 ――今度また会う時は、今度こそ、わたしに答えをくれますように。

「ごきげんよう、ひとりぼっちの王様。歌えば貴方はきっと来てくれるって思ったの。
 あら、不思議そうな顔…。だって貴方のこと、ようくわかるもの。言ったでしょ?わたしと貴方は“同じ”だって」
 この広い海を進む寂しい人。わかるわ。わたしと同じ目をしてる。
 そう言うと貴方がどんな顔するかしら。まるで自分の心は動かないと思っている、悲しい人。

「この先にね、静かな、誰も来ない浜辺があるの。
 今日は新月…真っ暗で寂しい夜だわ。桐覇の話をたくさん聞かせて? 貴方とのおしゃべりは楽しいもの」
 お礼に前に話した白い花を手に携えて。女神さまが与えてくれる、悲しみのない幸福を。
 まがいものの、真白き幸福を。
 
「冷たい水の中にいるとね、こうしてそっと手に触れるだけでも、貴方の体温がひどく熱く感じるのよ。
 熱くて、熱くて…焼けつくように痛くて… たまらなく、愛しいのよ
 寂しい、寂しいの。貴方と出会って、あの水底にいるのがひどく息苦しい。
 この冷たい世界から逃れたい。どこか遠くへ。 女神の呼び声が届かない場所へ。
 逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて――。ずっとずっと遠く。寂しい貴方のもとへ。
 どうしてわたしはここにいるの? ここでわたしは、海に還るの…?
 いや、いやよ…桐覇のもとへ行きたい…。たとえこの歩けない足を切り落としてでも、貴方のもとへ。
 ――あぁ、憎い。わたしを 水底に繋ぎとめる あの声が。

 『ねぇ、桐覇…。次の満月の夜、あの場所へ来て』
 愛に支配された少女が青年の白い服を掴む。 不思議と声も手も震えなかった。
 心は震えていた。これできっと、彼のもとへいけるという喜びで。
 来たる満月の夜。
 血のように赤い月に照らされながら、ウィシスの海が赤く染まった。
 青い海を染めるのは、白い庭園を守り続けた海の母なる女神の血潮。
 ねむる女神の心臓を貫いたのは、女神自身が産み直した主権巫女の娘。
 約束の浜辺に少女が現れる。白い服は女神の血で赤く、赤く。とろけるような赤い月に照らされながら。微笑みながら。

「桐覇…ねぇ、ほら、この赤い海を見て…わたしに触れて? わたしもう、海に還らないのよ。
 だって、めがみさまは…たいせつで、愛しくて、どうしようもなく憎くて…わたしもう、貴方がいないと水底で息もできないのに…
 あなたの血潮の中でしか 息ができないのに… だから、わたし、わたし…っ
 もう一人はいやなの… ねぇ 桐覇 とうは…っ」

 遠い遠い海の果て。少女を連れ去るのは触れあう肌が焼けつくような灼熱の腕。

『 いつか 貴方のその牙が、わたしのくびに喰らいついて、ころしてくれるのかしら。
 すき、すきよ そのこごえたこころごと しずんでしまいたいくらいに。
   あなたをころすのは わたし。 わたしが、あなたを 』

 そこはだれも知らぬ薄闇の奥、幸福の檻。
 地の自由を持たぬ足に飾られる一本の鎖。じっと青年の訪れを待つ少女の口元には頬笑みが浮かんでいた。
 風が揺れ、青年の訪れを告げる。愛しい腕に、首に、縋って名を呼ぶ。自分の名前を呼んでほしくて。

 遠くの海が赤く染まり、絶淵楼の海岸に花が流れつくようになってから
 死の薫風に乗ってどこからか子守唄が聞こえてくるようになった。

 ――後に絶淵楼の皇帝が娶った娘は、決して世に出ることはなかったという。
 
◇所属を希望される方は、「陸では歩けないこと」「自分は幸福であると思っていること」をお願いします。

◆NGはありません。国として併合されるされないもすべて相性次第とさせていただきます。
 お返事は即日~5日ほどいただく場合もあります。

キャプション随時編集いたします

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2015-10-03 10:52:01 +0000