【千国大河】淡雨の深淵レイニーアビス【第三期】

きらみ
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千国大河illust/50050950

国名:レイニーアビス [Rainy-Abyss]
人名:シュナ(珠魚)・ペラジック [Schna・ Pelagic] / 髪の色:月のない夜更けの空色 眼の色:ドルチェファイン・忘れな草


50pt [ 強靭:2 知能:15 器用:10 機敏:3 幸運:20 ]

半水中に沈んだ雨の国です。
(雨で出来た大きな水たまりに沈んだ大地の一部が海と繋がって、陸からも海からも行き来できるイメージです)
海が干上がる・雨を降らなくさせるなど、国の設定がひっくり返らなければ、
国としても人としても、友好・敵対・貿易・因縁などなど、何でも大丈夫です。
詳細は一期CSillust/51824636のP3以降に記載しています。

前期の絆
淡雨の深淵レイニーアビス ユウナ・ペラジックillust/52383384
「ずっと置いて行かれたと思ってたの。でも違ったんだね。ずっとこの場所に、ずっとあの方と居るために選んだんだね」
白き記憶の水底ウィシス水中庭園 サシャ=マナさん:illust/52304727
「海底に眠る美しい夜の花。この国で恋する者はみんなあなたに憧れてた。わたしも、そう」
 主権巫女ナナ=マナさん:illust/52850352
「ナナちゃん、ナナちゃん。手を離さないでね。ナナちゃんが居なきゃやだよ。シュナのこと置いて行かないで」
「空と海の狭間の色を瞳に映したあの時から、お別れの日が来ること、きっとどこかで分かってた。
 でも、さよならもいってらっしゃいも言えないの。さいごまでわがままでごめんね」



リフ=リオさん:illust/52855610
柔らかく守られる海の檻の中でいつものように揺蕩うある日、雨の海を覗き込む美しい青年の姿を見つけました。

「…あなた、観光で来たんじゃないの…?
 …ん、やっぱり、優しい声なのね。本当は今日がはじめましてじゃないの。あのね、こっそり見てたの。
 だっていつもこちらを覗いてるんだもの。どんな声なのかなって気になっちゃって。
 それに…、…ううん、なんでもない。
 (先に他の人がキスしちゃったらどうしようって思ったら、いてもたってもいられなかったの)」
「大丈夫、ちゃんと手をぎゅってしてるから。離さないから安心して。この海の中ならあなたを守ってあげられる」


――空と海をつなぐ真ん中で重ねる逢瀬。これは雨に沈む国の愛の記憶。
優しく幸せを説く彼が国民に慕われるまでさほど時間はかからなかった。

「引っ張ってきちゃってごめんなさい。でも、みんなばっかりずるいもん…」
「わたしがキスしたら、もうどこにも帰れない。此処にしか居場所はなくなるの。
 でもそれじゃ満たされないのに。行かないで、行かないで、此処にいてって願って想っちゃうの。
 独りよがりの好きが降り積もって海になったこんな国なんかにどうして来ちゃったの。どうしてそんなに優しくするの。
 そんなの、好きになっちゃうよ。怖いよね、嫌だよね、自分勝手だよね。ごめんね、ごめんなさい。
 でも、わたし、あなたのこと、だいすきなの。…ねぇ、」


“キスしてもいい?”
どうしても言えない言葉を涙とともに飲み込むそれが、わたしの愛のかたちなんだ。
家族のように大切に想う愛も、好きな人と添い遂げる愛も、呼応するのは誰かを愛おしく想う気持ち。

与えるばかりの人を好きになった。
幸せを説く暖かい人を好きになった。
求めることも愛されることも簡単だった。
涙はあなたと繋いでくれるけど、わたしはやっぱり言葉にしたい。わたしの声で知って欲しい。
雨の檻になんて閉じ込めない。泡になんて閉じ込めない。
わたしは、あの人とは――違うんだ。

「わたしを雨の檻の外へ連れて行って。この声で、この足でずっと傍に寄り添って生きていたいの。
 あなたのことを、愛しているから」


愛する某国の海が赤く染まった数日後。
国民たちに見送られながら旅に出る幸せそうな2人の姿と重なるように、
聖堂に2輪の純白のマーガレットが寄り添って咲くようになったことは、当人たちは知らないままで――。

#✯#【千国大河】#⚓ra

2015-09-30 15:07:55 +0000