千国大河【illust/50050950】へ参加させていただきます。よろしくお願いします
▼化け物(デイネイリュウ)
魔王の時代に人を襲った、泥のように濁った色をした竜のようなもの。
夜の沼地を淡く照らし、綺麗な声で鳴いて歌を紡ぐ。
「化け物」という呼び名が定着した現在は竜の名前を知らない人がほとんどであり、世間的には不気味なものと認識されている。
魔王の支配が終わってからは元の穏やかな気質に戻ったものの、人との間に生じた溝はなかなか埋まらず、
和解できずに時間が過ぎるうちに、彼らも人に心を閉ざしてしまった。
▼キシキ‐黒の歴史書(所属なし)
黒い化け物と共に現れる仮面の少年。夜になると沼地のある森から出て町に出没する。
竜に育てられたも同然なため警戒心が強く反抗的だが、臆病の裏返しである。
育ての親である竜たちが化け物と呼ばれることをひどく嫌い、人の声に耳を傾けようとしない。
よく連れている竜は女の子で、キシキと共に育った妹のような存在。
キャラシのポイント配分にミスがありますが、正しくは「強靭:4/知能:1/器用:1/機敏:4/幸運:0」になります。
▼絆:人の言葉を教えてくださる、素敵な絆を頂きました!
犀月さん(illust/52036294)
人嫌いの彼らの棲みかに、誰かが足を踏み入れた
竜は泥の中へと沈み、たちまち姿を消してしまう
やがて姿を現したのは、たった一人、白き衣をまとった少女であった
彼女は星に向かって歌う
その歌声は、竜のものとは違うその響きは、泥濘の中の少年には非常に奇怪な音
慣れぬ音色に顔をしかめる中、最初に顔を出したのは幼き妹竜ラテューラであった
「――何用で参った。お前。此処は我らの地だ。退け人の子。ここから去れ。二度はない。
……行くぞラテューラ。何をしている。行くぞ」
「……去れと言った。二度はないと言った。
今度は何だ?目的は何だ? 我らの皮か?……『チガウ』? 『オベントウ』……?」
「お前の歌は、解らない。聞こえているのに、聞き取れない。
…竜の声は聞こえても、人の言葉は、解らない。
…お前。人の言葉を教えろ。私に、だ」
「化け物を恐れて、ここは誰も来ない。人の手の入らないこの場所は、綺麗で、静かで、落ち着く……
――歌え、犀月。皆、お前を待っている」
人との関わりを絶った竜たちに泥濘から出るきっかけを与えたのは、ある少女の歌であった。
聞き慣れぬ旋律に皆が水へと溶け消える中、最初に顔を上げたのはまだ幼き泥濘竜の子。
末の竜は少女と共に歌を紡ぎ、その音に魅せられた成竜たちもまた徐々に、少女の歌に声を添えた。
最後に残った少年は、そこでようやく少女に歩み寄り「人の言葉を教えろ」と、ただそれだけを言ったという。
やがて少年は日の国へ、少女は夜の森へ幾度となく足を向けるようになる。
日が昇れば少女の国を見て回り、月明かりの夜は少女に合わせてかの地で竜が歌を奏でる。
少女の歌に耳を傾けその言葉を知ろうとするうちに、いつしか少年は人の声を――少しだけ、解するようになったのだという。
◆
泥の外を知った仮面の子に、世界を見たいという思いが芽生えたのはいくらか時間が過ぎた頃。
一回り大きくなった妹竜を連れて各地を放浪するその様は、「化け物」のようだったと人は言った。
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2015-08-18 19:47:17 +0000