※画像は敵目線
「……逃げられたかな」
荒れる呼吸をやっとの思いで整え、少女は呟く。
邪悪の驚異から逃げ遅れた人々を救うべく、彼女は単騎で敵の包囲網に突撃した。
戦いの経験などない"彼女(エリス)"にとってそれは苛烈を極め、市民を庇いながらの戦闘、圧倒的物量差から必然的に劣勢に立たされた。
鎧は傷つき、悲鳴のように軋みを上げる。しかし仮にもドラゴンの鱗と高濃度の魔力によって形成された甲冑、その並外れた耐久力は長時間敵の猛攻に晒されながらも鎧としての機能を失うことはなかった。
だが、中身は既に限界を迎えていた。──魔力切れ。それを悟ったエリスは最後の力を使い退路をこじ開け市民を逃がす。
そして、逃げ切れるまでの時間を稼ぐために周辺を炎の魔法で包み自らその退路を断った。
後悔はしていない。
……いや、また皆と一緒にご飯食べたかったな。
この姿だったら驚くかな?
薄れゆく意識の中、小さく微笑みエリスは瞳を閉じた。
『諦めないで!!』
脳内に響く声にエリスはハッと空を見上げる。
そこには黒煙に霞む空に一点の光、黄金に煌めくエトワイルの魔鳥レーオスの姿。
"金魔鳥"の鼓舞により、切れかけていたエリスの魔力は溢れる泉のように全身に流れ込んだ。
……まだ戦える。
無造作に転がっている大剣を引き寄せ、柄を力強く握り締める。
一対多の戦況、未だ物量差は圧倒的。されど魔力不足を解消し、周りに巻き込まれる人々がいないこの限定的な状況下において、その差は皆無。
なぜなら彼女がドラゴンであるが故に。
──戦いはまだこれからだ。
………
pixivファンタジアT第二章最終戦「世界を脅かす脅威」(illust/51073376)
↓お借りしました。
【PFT】歌声をあつめて(illust/51074177)
エリス↓
(illust/49709103)
不備等ございました、そっと教えてくださいませ。
拡大して見てもらえると幸いです
2015-06-30 20:30:48 +0000