【PFT】―――――

三角比

上層のどこからかの要請があり、戦場を乱している怪物を討つことになった。
協力関係を結んだという組織から寄越された武力らしいが、味方をも巻き込んだ殺戮行動に及び制御ができないとのこと。
危険な友軍の始末。実に眷属軍らしい仕事だ。
討伐対象は移動を繰り返しており、報告をまとめたもので大まかに居場所を把握する。
―――
踏み出せば次の一歩の方向がわかった。
なにか見えない意志によって導かれているかのようで、幻術や操心術を疑うも邪な気配は感じない。
ひとまず姿なき案内人に従うことにした。

その怪物は濡れていない箇所が見つからないほどに血を被っていた。

動ける者を追い回し命を奪う様は獰猛な獣のようであった。
屍はゴーレムが拾い、行き先は…おそらく死者が安らげるような場所ではないだろう。
物陰に隠れながら静かに間合いを詰める。
それでも僅かな殺気を察知したのか怪物が鋭く振り返るも、こちらを認めるとどうしてか動きを止めた。
もとより先手を打って放っていた一閃が外殻に食い込み、肉を、骨を断つ。

『―――――様』
倒れる寸前に零れ落ちたのは獣の呻きだったか、人の言葉であったか。
その意味を問うことは叶わない。
既に血濡れの怪物は事切れていた。

『感謝する、異国の皇子』
今度は涼やかな男の声がはっきりと、耳に届く。
声が聞こえたような方向へ視線を向けるも側に立つ者はおろか立っている者すら周囲にはいない。
絶え絶えではあるが息のある者は幾人か確認できる。急いで救護を呼ぶ必要があるだろう。

―――
あの声の主が導いたのだろうか。
湧き出る泡沫のような感慨はかき消し、仲間が待つ戦場へと戻ろう。

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お借りしました(敬称略)
◆カラドア帝国眷属軍
ヤマブキ【illust/49706918

ヤマブキさんにはこのような役回り、視点モドキテキスト添えで重ね重ね申し訳ありません。
自キャラの結末以外はパラレルの可能性を含みます。(実際は人の姿は見えていないと思われます)

この投稿にて【ユドゥネは死亡しました】
蘇生は不可となります。待ち望んだお迎えが来るでしょう。
あっという間でしたがお世話になりました!

メルギオとユドゥネ【illust/49785497
企画元様【illust/49662235

#pixiv Fantasia T#カラドア#【特務機関ディマイズゴア】#【カラドア帝国眷属軍】#アデリアの決戦【赤】

2015-05-01 13:08:35 +0000