首都決戦の最中、前線拠点として構えられたギリギリ崩れてないくらいの建物の中では仲間達がやっとありつけた飯をかきこんでいた。
馬が引いてきた野戦炊事車で作られたエンドウ豆のベーコン添え。一見質素にも見えるが、つい先まで戦闘してたとこでこの食事はまだありがたいほうだった。
特に、隊長と普通科長の二人は楽しそうに食事をしている。まぁ俺達一般兵達と一緒に同じ釜の飯を食うってところは良いが、どうにも気楽というか、図太いというか。本当に13歳の少女なのだろうか。
そう思い二人を見ていると、ふと思い立ったように普通科長が立ち上がり、隊長を抱えて引き寄せながら急に歌い始めた。
「今日も埃塗れになって働いて
骨がいうこと効かなくなった
そしてまたもやどやされた
だったらご馳走で自分をもてなそう
教練とか糞みたいな戯言の後には
野戦炊事車で作られた
エンドウ豆のベーコン添えがあるんだ」
「牡蠣やキャビアなんか
甘やかされた糞お嬢さんだけのもの
そんな豚の餌になんか目もやれない
もっとましな食事がしたいね
栄養ある食事を摂るなら
野戦炊事車で作られた
エンドウ豆のベーコン添えがいい」
「例えば我々がもし外国相手に
民族と自由のために闘争するとしたら
防空壕の食卓で
好物料理が作られる
何にも劣らない美味しい食事は
ただ一つ野戦炊事車で作られた
エンドウ豆のベーコン添え」
「天国に兵士達が着いたら
沢山のご馳走が出される
ペテロは我々の好みを知って、
特別料理を供すだろう
天使の定食もまた
野戦炊事車で作られた
エンドウ豆のベーコン添え」
その歌声は、13歳の少女らしい鈴を鳴らしたような、それは綺麗なものだった。普通科長の歌声と、その陽気な様子に自然と隊員達にも笑いが広がる。戦闘の合間の、細やかな楽しい時間だった。
余談だが、この歌詞の意味は後で隊長に聞いたもので、普通科長が歌っている時には全くもって聞き取れなかった。何故なら、こんな言葉も歌も少なくともカラドアでは聞いたことがないからだ。普通科長の故郷の歌だろうか。不思議な言葉だった。
~戦術医療群十字 機甲科 ヴィットマンの手記より~
なんとなく戦闘の合間の食事的な。兵士にとって、食事の時間というのは大切な楽しみの時間ですからね!とても大切なのです!
手記という形でお借りしました!隊員のヴィットマンさん【illust/49745222】
えんどう豆のベーコン添えの歌詞はこちらより引用【http://gunka.sakura.ne.jp/mil/erbsen.htm】
2015-04-30 08:23:36 +0000