四斤山砲・野砲の弾薬① (弾丸)

たまや C101土曜東ア30a

 四斤山砲及び同野砲で使用する弾丸は、榴弾・榴霰弾・霰弾の3種がある。榴弾・榴霰弾はいずれも鋳鉄製の弾殻外部に12個の筍翼を植定し、これをライフリングに噛み合わせて旋動を与える翼式弾である。
 榴弾は、全備弾量4.035kg(デマレー信管の場合)、炸薬量0.200kg、信管は1859年式デマレー着発信管(デマレー信管)・1863年式二節時信管・紙管の3種類、装薬量は野砲0.550kg、山砲0.300kg、最大射程は野砲4000m、山砲2600mであった。弾丸外面は酸化防止のため黒色に塗装してある。信管孔径が22mmの旧型と25mmの新型のほか、30mmの型もある。旧型弾は筍翼の高さの高低にばらつきがあり、偏飛するものが多かった。
 四斤榴霰弾の全備弾量は4.523kgで、内部に弾子を80個、合計1.496kg填実する。炸薬は0.085kg、信管量0.157kgで、この他に砂0.085kg、硫黄0.130kgを填実する。信管は1865年式四節時信管・紙管の2種類。装薬量は榴弾と同じで野砲0.550kg、山砲0.300kg、最大射程は野砲3700m、山砲2540mであった。また、弾体形状は壜子頸を呈し、この点で榴弾と容易に識別できる。外面は酸化防止のため赤色に塗装してある。弾殻は、榴弾と比較してやや薄くなっている。弾子の大きさは直径14.7mmで重量19.2gの鉛製であった。しかし、旧式弾では弾子形状が円形のほかに楕円形や尖弾のものが混ざっていたり、炸薬が35gしかないため破裂しなかったり、甚だしきは砲口で粉砕してしまうなど、粗製極まる有様であった。
 四斤霰弾は、鍛造亜鉛板で作った円筒内に鉄製弾子を入れ、両端を亜鉛板で閉鎖したものである。弾子は第六号鍛鉄弾子と称し、直径26mm、重量70gの鍛鉄製であるが、我国では明治11年9月30日の砲兵会議の議決により、鋳鉄を用いることとした。全備弾量は4.725kg、弾子は41個を収容し、装薬量は野砲0.550kg、山砲0.300kgである。有効射程は、通常の戦況・地勢にあっては野砲がおよそ500m以内、山砲がおよそ300m以内である。

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2015-04-14 14:55:26 +0000