エイリアン同盟の副総統です。
チャンドロはレヴィントンと共にエイリアン同盟を作り上げた人物であり、またエイリアン同盟内における過激派勢力のリーダーでした。
彼は人間を完全殲滅するべき敵であると考えており、レヴィントン総統に対して帝国相手の開戦を幾度も進言していました。
しかし現実主義的なレヴィントン総統はこれをよしとせず、チャンドロの思惑に反して帝国と妥協する道を模索していました。そんな総統の影でチャンドロは他の過激派の者達と暗躍して帝国に対して挑発行為を続けついにはエイリアン戦争勃発へと導きます。
彼はその過程で帝国側、連邦側の過激派とも通じていました。帝国側にはエイリアンを差別し奴隷として酷使する事で利益を得ていた企業の経営者や過去の帝国の栄光を取り戻さんとする右翼勢力、また帝国軍の一部の軍人達もエイリアン同盟との開戦を望んでいました。
連邦にも同様に一部の勢力は戦争勃発によって莫大な利益を得るものがおり、彼らは戦争を望んでいました。
それぞれの勢力の過激派と思惑が一致したチャンドロは彼らと協力関係にありました。
レヴィントン総統は純粋にエイリアン達が自由に豊かに暮らせる国を作ろうとしていましたが、チャンドロに関しては全く違います。彼は権力欲が強く、彼は最終的に自らがエイリアン国家のトップとなり、邪魔者を排除して自らが好き勝手思うがままの状態にしようと考えていました。
帝国分裂期のエイリアン武装勢力の一員としての戦いやエイリアン戦争は彼の底なしの欲望を満たすための過程に過ぎなかったのです。
そんな裏の思惑があるとは知らず、レヴィントン総統はチャンドロの事を側近として非常に信頼していました。表向き、チャンドロはレヴィントンの忠実な部下であり、また親友を装っていました。
チャンドロは軍部と非常に強い結びつきを持っていました。エイリアン武装勢力時代は戦闘員として戦っていたといえども、レヴィントン総統は基本的に文民であったのに対して、チャンドロは自らも戦闘民族出身であり軍事に精通していました。また軍部には過激派も多く在籍していたのも要因です。
エイリアン戦争までのエイリアン同盟は軍部が強い権限を持っていたため、軍部と結びつきが強いチャンドロはそれだけでもすでにエイリアン同盟を動かす大きな権力を握っていた事になります。
またチャンドロは自らの副総統という地位と軍部の力を利用しながら、エイリアン達の世論を巧みに操りエイリアン戦争勃発へと誘導します。マスメディアを利用したプロパガンダよってエイリアン達の反人間感情を煽りました。その一方でエイリアン領内に居住していた人間達を次々と収容所に送り込み、過酷な強制労働や拷問、虐殺を繰り返しました。彼にとって人間は家畜以下の生物でしかありませんでした。
エイリアン戦争勃発まではほぼ彼の思惑通りに事が進みました。帝国側の過激派から秘密裏に手に入れた帝国軍の技術情報などを利用し軍備を増強しました。帝国側の過激派も戦争長期化を狙って初期の帝国軍の増強を妨害、エイリアン軍を過小評価する論調を国内に広めていました。
ついに帝国軍側からの先制攻撃を誘ってエイリアン戦争が勃発しました。
しかし、その後は彼の思うとおりに事は進まなくなりました。彼の思惑が最初に外れたのがアーレマストニ戦です。帝国軍のベック提督の捨て身の死守作戦によってエイリアン軍は長期にわたって足止めされました。さらに状況の打開を狙ったベアトリスク戦でもフレイヤ提督の大胆な反撃により敗北し、エイリアン軍の進撃が予定よりかなり遅れる事になりました。
この計画の狂いによって、帝国軍側に反撃準備の猶予を与える事になりました。帝国暦43年になるとエイリアン軍は劣勢になります。またこの年には帝国側で過激派右翼の政権が誕生します。彼らはチャンドロと共に暗躍した勢力でした。ですが彼らは帝国で実権を握った事でチャンドロらエイリアンは用済みとなります。帝国軍は大規模に兵力を増強しエイリアン軍の徹底的な殲滅作戦を開始しました。
戦況が悪化する一方となるとレヴィントン総統もいよいよ戦争続行は困難として、帝国相手に和平の道を模索する事になります。
これに対してチャンドロはレヴィントンにエイリアンに対する背信行為の罪を被せて幽閉しました。さらに徹底したプロパガンダによって国内世論を煽り最後の最後までの帝国に対する抵抗を訴えました。
チャンドロはこの時点でもうすでに戦争での勝利は期待していませんでしたが、逆にエイリアン軍が敗北する事も考えていませんでした。徹底したゲリラ戦を展開すれば帝国軍は徐々に疲弊し撤退せざるを得なくなると彼は考えていたのです。ここで彼は時間稼ぎの作戦に切り替えました。
しかしここからも彼の思惑通りに事は進みません。
帝国内では良心派の勢力が密かに過激派の陰謀を探り、それを白日の下に晒したのです。これにより帝国の過激派は瞬く間に失脚すると共にエイリアン軍内にも暗躍していた勢力がいた事が明らかにされます。
これに呼応してエイリアン側の良心派も動き出し、レヴィントン総統が救出され逆にチャンドロは追い詰められます。チャンドロは他の過激派と共になんとか逃れる事に成功し、エイリアン戦争の終結後はエイリアン同盟を2つに割る内戦を引き起こしました。
エイリアンに対する背信行為を働き多くの同胞を犠牲にしたチャンドロは批判的に評価されます。彼の場合は私利私欲のためにこのような壮大な計画を実行した点からも嫌われる大きな要因でしょう。
ですが一方で・・・彼の計画が完璧に成功していたらどうなったでしょうか?
もしかしたらエイリアン戦争でエイリアン軍は勝利、銀河の中心である惑星アラフィラーナを帝国から奪い取り、エイリアンの首都に変貌させていたかもしれません。
史上類を見ないエイリアンの帝国が誕生したかもしれません。だとすれば、彼は一歩間違えればエイリアンのルードリッヒ大帝になったとも。
もっとも・・・ルードリッヒ大帝の場合とは異なって、エイリアン帝国は多種族国家となるわけで、銀河全体では少数派の人間が多数派のエイリアンを虐げる事で成長した中央帝国のようにエイリアン帝国は上手くいかないでしょう。人間同士ですらもいがみ合う世界の中で、人間による人間のための国家であった帝国も銀河の覇権を握ったのは僅かな期間です。ましてや種族すら違うエイリアン帝国が長続きするとは思えません。
2015-02-07 02:05:18 +0000