エイリアン軍の戦闘機です。
Mob-12はこれまで攻撃機や多用途機を手がけてきたモービス技師が本格的に戦闘機として設計した機体です。
これまでの彼の機体らしく生産性や信頼性を重視した設計でした。
モービス技師がこれまで戦闘機を設計しなかったのは、戦闘機開発はVag設計局に、攻撃機やその他の補助的な機体の開発を自らが手がける事で、航空機開発の棲み分けや無用な縄張り争いの回避などの思惑もあったようです。
自由同盟軍の整備兵として、人間に混じって活動した事があるモービス技師はエイリアンの過激派から快く思われておらず、たびたび嫌がらせを受けていました。エイリアン軍は基本的にVag贔屓でした。そんな中で彼が戦闘機の開発に乗り出せば、過激派からのさらなる嫌がらせによって自身の航空機開発がままならなくなる危険性があり、またただでさえ限られているエイリアン軍の軍用機開発のリソースを無駄に消費しかねませんでした。Vag設計局の開発方針にモービス技師は不満を持っていましたが、彼はそういった事情から戦闘機開発は彼らに委ねることにしたのです。
しかし、エイリアン戦争の勃発、そしてその中期以降のエイリアン軍の衰退を目の当たりにしてもなおエイリアン軍の限られた資源を浪費するVag設計局の方針に対してついにモービスは我慢の限界に達しました。
Vag設計局のヴォッサ技師とグレニコフ技師は確かに優秀な技術者であり、エイリアン戦争中に様々な戦闘機を手がけその進化が著しいものでしたが、一方で彼らが設計する機体はとてもエイリアン軍の生産力や整備力に見合ったものではありませんでした。
特に戦争中期以降はエイリアン軍が劣勢となり、戦闘機に求められる能力はもはや拠点防衛のための迎撃力が主となっていました。その点ではVag設計局のVag-3は扱いやすくその任務に見合った機体ではありましたが、彼らやエイリアン軍上層部は新型Vagの配備に熱心でした。
新型Vagはどんどん大型化しており、必要以上の搭載力を持たせた代わりに鈍重でしかも生産性や信頼性に欠けていました。
これを受けてモービス技師はエイリアン軍の防衛線を守るために必要な戦闘機開発に着手します。これによって出来たのがMob-12でした。
この頃にはモービス技師は航空機技術者として定評があり、当初ほど過激派による圧力も少なくなっていました。
Mob-12はMob-10のエンジンを流用した機体で、高出力イオンエンジンの特性を生かすために出来る限り機体を小型・軽量化しました。その一方でパイロットを守るための装備、また生産性や信頼性の向上に必要な要素はしっかり網羅されています。
外見的には双発機ゆえにVag-3がスマートであるのに対してMob-12はずんぐりとしています。
兵器の搭載量はカタログスペック上ではVag-3とさほど変化はありませんが、これはあくまで迎撃機としての運用を想定した仕様であるがためで、実際は小型ながらVag-7にも引けを取らないほどの搭載力を有しています。
飛行性能面では運動性はVag-3を上回り、低速域からの加速性能は圧倒的です。ですが最高速度はVag-3をやや上回る程度でした。エンジン出力は機体サイズに対してややオーバーパワー気味です。
Mob-12のエンジンは基本的にMob-10の流用であり、攻撃機用エンジンとして最適化したものであるがゆえに戦闘機用エンジンとしてそのまま利用するにはやや難があったようです。攻撃機に搭載して運用する事が前提であったため、低速域では高い出力を発揮しますが高速域での出力の伸びが鈍る傾向がありました。
しかし戦闘機用エンジンとして改良を施せばVag-3を大幅に上回るポテンシャルがあります。
弱点としては機体を小型化したために航続距離が極端に短い事です。ですがこれは迎撃機という用途ではさほど困るものではありませんでした。
核となるエンジンはすでに完成されたものを流用し、その他でもこれまで培ってきたモービス技師のノウハウを詰め込んだ事でMob-12は安価で信頼性に優れた優れた迎撃機となりました。しかしその登場は遅く、エイリアン戦争の終戦までに完成した機体はほんの少数でした。
この機体の開発中にモービス技師自身の体調が悪化したことで開発は大幅に遅れてしまったのです。
2枚目はMob-10との比較です。同じエンジンを採用している機体ですが、Mob-12がどれだけ小型化されているかがわかります。
・スペック
全長:11.5m
武装:
・固定
20mmレーザーキャノン×2
・翼下ハードポイント
【対空任務】
短距離空対空ミサイル×4 中距離空対空ミサイル×2
搭載:
なし
エンジン:
イオンエンジン×2
2015-01-16 04:29:58 +0000