※創作キャラ注意
ビビット・フォーチュンクッキーは元来気が弱い少年だった
そんな彼が一大決意をしたのは アースイレブンに感銘を受けたからである
サンドリアスと地球の試合 誰もがサンドリアスが勝つと思っていた
しかし、地球は勝った ファラム・オービアスの助っ人の卑怯な手にも屈せず 最後まで戦い抜き、勝利を収めたのである その日から彼はアースイレブンの熱狂的なファンとなり、いつか彼らの試合を目の前で見たいと思っていた
ある日彼は両親が夜中に誰かと話しているのをこっそり聞いていた
その相手はルーザ・ドノルゼン
アクロウス王の娘が王位を継いだ後もファラム・オービアスを牛耳る傲岸不遜な執政官の老婆だった
彼らが何を話していたのかは 最後以外聞き取れなかった
「よいな、しかと申しつけたぞ」
しかし 父親はなおも反対をした このままにしておいてはもらえないかと
するとドノルゼンは激高して言った
「平民の分際でこのわしに逆らう気か!!言う通りにすれば お前たちを上級というわけにはいかないが 貴族に取り立ててやると申しているのだぞ!!わしも全てを打ち明けたからには拒否は許さぬ!!逆らうなら反逆罪で死刑じゃ!!言う通りにするか、せぬか 二つに一つ 性根を据えて返答をせい!!」
ビビッドはそれにただならぬ気配を感じ取り、彼は逃げようと決意した
ありったけの貯金をはたいて 家を出たのである なぜそうしようと思ったのかはわからなかった
ドノルゼンは追っ手を放ったが 逃げ道は黒いピクシーが導いてくれた
そしてサザナーラ行きの貨物便に乗り込んだのである
そこで出会った旅のミュージシャン、名前をA・D・ディーンといい 陽気な若者だった 彼にも助けられ、サザナーラで別れた そうしてアースイレブンの後を追う旅をし、そこで出会った さすらいの拳銃使い:オステア・ダークサンシャインたちと行動を共にするようになった
彼はアースイレブンの決勝の地、故郷であるファラムへ戻ったが、ラトニークで何らかの病原菌に感染し、高熱を出して倒れたのである 彼は普通の病院ではなく、貧乏人や渡星人が利用できる医療施設へ運び込まれた 渡星人という存在であるオステアは普通の病院へは行けなかった そこには無料奉仕をする医女がいたが その様子がおかしいことに気が付いた
ビビットに注射をしようとしている医女にオステアが言った
「・・何の真似だ!?」
「ひゃあん!!」医女は変な悲鳴を上げ手を止めた
「な、何ですか!?そ、外で待ってるように言ったはずですよ!」
「その子をどうするつもりだ?」とたんに医女の顔から滝のような汗が出る
「ど、どうするって・・わ、私は医女ですよ・・患者を助けるのが仕事です!」
「嘘をつけ!!医女がなぜ そんな殺気を放つのだ!殺すつもりだな!?」
オステアは医女をにらみつけた 医女は汗をかき震えながら 懐に手を入れた・・この女 武術の心得があるな?もし俺に何か武器を投げつけてきたら その頭を吹っ飛ばしてやる
その時だった
「オステア、話がある 来い」中年の男が言った
「何を言う!こいつは・・!」
「医女様の邪魔をするな きっと助けてくださる・・いいから来い!」
オステアは黙って出て行ったが その眼には『もし何かしたら殺す』という文字が浮かんでいた
医女は全身の体の力が抜けてへたり込んだ、そして毒物を捨てると普通の抗生物質を打った
しばらくするとビビットは気が付いた
レディオのガガがまっさきに飛びついてきた
頭をなでていると 向こうにオステアが座って銃の手入れをしているのが見えた
「ありがとう オステアが運んでくれたんだね」
「礼など言うな、俺の目の前で死なれては困るのでな」
「やっぱり やさしいんだねオステアは・・アシュビナも優しかったけど 強い人間はやっぱ優しいんだ」
「俺は違う・・お前がオビエス十勇士の一人と呼んでいた女はわからんが・・あいつも オビエスとやらのことも気になるがな」
「それも話してあげるよ・・」
「今はいい 休め」
「ねえ、本当に探してる人を見つけたら 殺すつもりなの?そんなことはしないよね?だって オステアは人を殺したことなんてないもの」
「違う 下らぬ命など 欲しくはないからだ だが、中には消さねばならぬものがあるのだ もう おしゃべりは終わりにしろ わかったな?」
「うん、・・治ったら あのことを聞かせてよ キエルという星のことをね」
「ああ・・」オステアは地球生まれである自分になぜその星の記憶があるのかわからなかった それより、自分にとって、あの少年が特別な存在になりつつあるのが 一番の謎だった
一方、こちらはピクシーの本当の姿であるアクロウス王とサージェスが会話していた
「王様 あいつら本当にここまで来ちまったな さすが姫様に見いだされただけのことはあるぜ!」
「ああ」
「もっと喜べよ!もうやつらの勝利は二百パーセント決まったようなもんだぜ!それとさ、あの子供を助けたのは何でだ?」
「それはわからん・・その時はそうするのが一番良いと思ったからだ なぜか気になってな 全ては銀河の導きだ アースイレブンがファラム・オービアスに勝った時が本当の勝負が始まる、そしてそれがどうなるかは私にもわからぬが お前も騎士ならわかるであろう、本当に勝利の確信が持てるまで王は兜を脱がぬものだ」
そして、某所ではイクサルフリートの二人が会話していた
「オズロックから行動開始するように命令が出たわ」シノーペが言った
「いよいよだな」とディオネが言う
「KOSMOSが人殺しをしなくてよかったわ」
「そうか?俺はファラム人というだけで憎いがな」
「まだ子供よ 子供を殺したら後味が悪いじゃない」
「ファラム人は腐るほどいるが、我々はもう十二人しかいなくなったのだ・・同情など 無用だろう」
「そうね、でも・・私にだって、あなたにだって 失いたくないものはあるはずよ・・それは人間としての 大切なもの・・というところかしら?」
ディオネは目を閉じ 肯定も否定もしなかった 論より感の彼には何か感じたようだ
「シノーペ、お前は我々とは別に生きる道もあったはずだが なぜ ついてきた?」
「私はあなたたちと生きる選択をした 私もイクサル人だから・・あなたたちの行く末を見届ける必要がある・・そうでしょ?」
「そうか・・お前には感謝している いつも身の回りを世話をしてくれるからな」
「気にしないで それと・・私は見たわ ファラムにガンスリンガーが来てる」
「うむ、俺もただならぬ気配を感じていた あいつは本物だ KOSMOSに勝てる相手ではない あいつに仕掛けていたら死んでいたところだ そうなれば俺も武の師匠として心が痛む、やつが我らの復讐に仇をなすか、天祐となるのか・・それはまだわからぬが うむ 感じるぞ・・時は完全に満ちた 今が行動を開始するべきなのだ!」
「ええ、我らの悲願が達成されるのよ・・全ては銀河のお導きのままに」
こうしてファラム・オービアスで銀河をひっくり返すような陰謀が進行していることは
まだ誰も知らなかった
2015-01-09 13:04:08 +0000