中央帝国宇宙軍の軍人です。
ラベリアン帝国暦20年時点において帝国宇宙軍の最高司令官です。彼の年齢は20代、異例の大出世でした。
彼は飛び級の超エリートでした。優れた戦術手腕を持ち彼が帝国宇宙軍に入って初めての任務で辺境の小艦隊の司令官になりますが、その際に発生した武装勢力による帝国への奇襲攻撃を素早く撃退しそして瞬く間に武装勢力自体を壊滅させました。
その後も彼は治安の悪い辺境地域において数々の功績を残しそれに目をつけたルードリッヒ大帝が彼を辺境から引き抜き地方軍集団の主力艦隊司令官、そして総督、ついには帝国宇宙軍の最高司令官となりました。
帝国軍は初期にこそは銀河大戦を戦った英雄的指導者が数多くおり、その戦闘能力は計り知れないものでした。しかし帝国暦10年を過ぎてくると彼らのほとんどは引退し、またダグネスの権力掌握の思惑もあって、帝国軍の上層部は能力的に優秀な者ではなくダグネスに同意する者達で固められ、帝国軍は無能な年寄りに支配されるようになっていきました。その結果、すでに地方の小さな武装勢力レベルまで力を落とした旧中央国の残党自由同盟軍にも様々な場面で出し抜かれ、敗北する場面も見られるようになりました。
これを危惧したルードリッヒ大帝は秘密のスパイを使って帝国軍内部の状況を探り、そしてまた次世代の帝国を担える優秀な人材の模索を行なっていきました。
運よくラベリアンはルードリッヒの目に留まります。そして彼はルードリッヒ大帝の思惑で瞬く間に出世することになるのです。
帝国軍のトップであるダグネスに続いて、ラベリアンは地上軍最高司令官であるバートラインと並んで帝国軍のナンバー2になりました。
帝国軍の上層部に入ったラベリアンは細かいところでの活躍もありましたが、特に彼が活躍したのはデスシップの件です。
彼はデスシップの機構を念入りにチェックし、そこで闇に葬られていたデスシップの致命的な弱点を見つけ出します。弱点は前々からも指摘されていましたがそれはデスシップの完成を急ぐダグネスによってもみ消されていました。ラベリアンはこのデスシップの弱点が非常に危険であり、これを突かれれば自由同盟軍の攻撃によって撃破される可能性があるとダグネスに直に進言しました。しかしダグネスはまだまだ若いラベリアンの意見には一切耳を傾けず無視を続けています。
帝国暦21年、せめてもと思いデスシップに護衛艦隊を張り付けようと試みますがこれもダグネスの独断によって失敗、デスシップは無防備な状態になってしまいます。艦隊を呼び戻すようダグネスに進言するもやはり無視され、途方にくれていた中でバートラインの助言を受けたラベリアンはもはや弱点を突かれデスシップが機動を停止するのは避けられない事を覚悟し、そうなった場合の対策を練ります。それはその後のデスシップの戦いにおいて機動を停止したデスシップの再起動を迅速に行なう事に役立ちデスシップは同盟軍の攻撃から逃れるチャンスを得ました。
しかしそれもダグネスの独断により失敗します。ダグネスは最低限の機能を取り戻したデスシップを撤退させるのではなく、デスシップの主砲デスキャノンを用いてなおも同盟軍に抵抗しようと考えたのです。
最終的にデスシップは破壊を免れませんでした。同時にラベリアンはダグネスやバートラインと共にデスシップの崩壊に巻き込まれ戦死しました。
ダグネスはともかくとしても、帝国軍にとってバートラインとラベリアンを失ったのは非常に大きな痛手でした。またデスシップには帝国軍全域から集められた選りすぐりのエリート人材が揃っていたため彼らの多くも戦死、帝国軍は多くの優れた人材を失ってしまいました。
戦術家としてのラベリアンは比較的防衛を重視する傾向にあるようです。彼の恋人であり後に帝国軍の指導者となるメラ・エイディンは攻撃的な思考を持ちその戦術にも現れていましたが、それとはまったく逆です。
彼は時には大胆ではあるものの基本は慎重派でした。彼は広い視野を持ち総合的に帝国の利益となるような戦い方を心がけ、むやみやたらの損害は好みません。むやみに損害を出せば兵器はお金を出せばいくらでも替えがききますが人的損害は後々まで影響を出す事になりそれは帝国にとって大きな痛手になると考えているからです。
彼はエリートであるため知識は豊富でそれは軍事に限ったものではありません。政治や経済についても豊富な知識を持ち任務の際には本来の自分の縄張りである軍事意外においても帝国の政治や経済面で最大限利益となるよう行動を心がけています。
また彼は他の多くの帝国宇宙軍の高官と違って地上軍を見下しておらず、地上軍とも対等に接し協力して任務遂行に当たりました。そのため地上軍との関係は良好で、バートラインもそんな彼をよく気にかけて助言を与えていました。
優れた能力を持ったラベリアンでしたが、残念ながら彼は帝国軍の上層部に入るには圧倒的に経験が足りなかったと言えるでしょう。彼は知識は豊富でも経験は不足しており、そして学術的論理的なものの考え方に傾倒しすぎていた面がありそして少しでも不条理を感じるなら妥協できない人間でもありました。
そのためよく彼は他の者と意見をぶつけ合う事も多く、一部の人間からはあまり良い印象を受けていませんでした。
彼が経験を積みより上手く立ち回れるようになったからと言ってダグネスを必ずしも説得できたとは言えないものの、少なくとももしそれができたならもう少しは上手く立ち回れたのではないかとも思われます。
2015-01-07 10:53:59 +0000