<1P目>
その日の幻想郷は"あの時"と同じ雨の日だった。
午前9時30分。寺子屋では休み時間が終わり、慧音が二時間目の国語の授業を始めようとしていた。そこへ…。
ドンドンドンドン。教室の窓を誰かが叩く音がした。
「誰だ。今は授業中だぞ」慧音は窓を開けると音源の主にそう言った。
そこには白バイ隊員が立っていて、慧音にこう言ったのであった。
「幻想郷警察の者です。慧音さん、お伝えしたいことがあります。先程人里警察署の方に寺子屋に爆弾をしかけたとの予告があったそうです。大至急、寺子屋の中を調べに来ました」
<2P目>
にわかには信じられなかった慧音。
「ただのイタズラではないのか、それは…」
「そ、それが…一時間程前にここから少し離れた駐在所で爆発があり、署の方に次は寺子屋を標的とした旨の予告があった次第で…」
「そうか…。わかった。私も爆弾とやらを探すのを手伝う」
「いえ、子ども達に何かあっては危険です。直ぐに応援も駆けつけるので大丈夫です。慧音さんはここにいてください」
可愛い生徒たちの事を気にかけた慧音は仕方なくそうすることにしたのだった。
寺子屋の中へと入っていった白バイ隊員。しばらくたったその時だった!
ドカーーン!!!
突如響きわたる爆発音。騒然となる教室。
「大変です!職員室で爆弾が爆発しました!逃げてくださいっ!!」
白バイ隊員は教室内に飛び込んでくるなりそう叫んだ。慧音は子ども達をつれて校庭へと避難したのだった。
「私は被害状況を調べて来ます。先生はここに!」
彼は慧音にそう言うと、寺子屋へとまた戻っていった。
だが、いつまで経っても帰って来ない彼に加えて、警察の応援が来ない事に不審に思った慧音は(まさか…!)と思い、職員室へと向かった。
そこには爆破され、中にあった現金約三十万円が無くなっている金庫があった。
慧音はようやく、全てを悟ったのだった。
<3P目>
寺子屋で現金が強奪されるという事件は幻想郷の各地に伝わり、人妖達を驚愕させた。
奇しくも"あの事件"と酷似した手口、そして同じ犯行時刻だったということも(その後の捜査で駐在所の爆破も嘘だった模様)。
幻想郷警察は会見で「大胆不敵かつ我が幻想郷警察に対する挑発的な犯行。威信を賭けて犯人確保に取り組むつもりだ」と語った。
今日12月10日はあの三億円事件が発生した日と言われているそうです。
2014-12-10 12:06:59 +0000