「闘乱祭 -冬の陣 2014-」:illust/46381967へ、今回も参加させていただきます。
◆苅麻 紫尾 (かりま しいお)
男/三年生 18歳/162cm/学生寮住まい
4人の姉がいる。昨年夏、学外での怨魔討伐に際して 妹を喪い自らも負傷し、本来の心剣を喪ってしまっていた。
★柏木 さと (かしわぎ ―)
女/二年生 17歳/143cm/[ナイショ]kg/一人っ子/学生寮住まい
いつ誰が見ても 甘味を頬張っている、餅屋の一人娘。苅麻紫尾と一緒にいるのが すっかり板に付いてきた。
◆心剣「へ68ナ&q;#4ム116+1」
澱んだ血液の色をたたえた全長977mmの日本刀です。
苅麻家において その時々の有力者に 受け継がれてきた心剣であり、現在は 苅麻紫尾により 所有されています。
この心剣が 抜刀されている状態では、心剣およびその所有者を 正しく認識することが 非常に困難になります。
位置をはじめ、色、温度、音など、心剣およびその所有者自体の およそ全てを歪めます。
第三者が起こすこの誤認は、心剣所有者によって 誘導されていることが 判明しています。
この写真が撮影された瞬間、実際の苅麻紫尾とこの心剣は、
柏木さとの心剣(122.89kg)を全身で支えるために 彼女の真後ろに居たことが 後日判明しています。
★心剣「蜜櫻(ミツザクラ)」
人であれ魔であれ その悩み苦しみをやわらげる、甘い甘い黒蜜の香を放つ心剣。
全長180cm・刃渡り65cm・総質量123kgの超巨大鋼鉄製漆塗り風和菓子フォーク。
所有者である柏木さとの血糖を 常に奪い取っています。
十分な糖が供給されていくと、持ち主にとってのみだんだんと質量が無くなっていく性質があります。
この心剣は常時顕現しており、柏木さと本人が常時糖分を摂取し自ら持ち運ばなければ移動すら困難でしょう。
――― 苅間鷹子のレポートから
◆過程はともかく、苅麻紫尾は玉鋼学園での3年間の後、非常に高い怨魔無力化能力を手にしたことになる。
怨魔には誰も居ない場所に自分の姿でも見せておいて、後ろから斬るなり祓ってもらうなりすればいいのだ。
そういう、単純で、どうしようもないものでいいのだ、と紫尾の父親は自慢気にひとりごちた。
彼は東京の大学へ進み――昨年夏の傷の精査のため1年休学してから――小さなアパートを借りるつもりだった。
★柏木さとにとって、九州の片田舎を離れてこの2年間で最も驚いたことが3つある。
ひとつは 心剣が珍しいものではなかったことだ。彼女の地元は心剣発露の異様に少ない特異点だった。
糖を奪う心剣が突如発現し、肝機能低下の誤診を受けて生死の境を彷徨い続けた中学時代が嘘のようだった。
ふたつは、人や心剣は移ろい変わっていくという、多感な時期の事実である。
心剣自体にほとんど理解が無かった柏木にとって、紫尾の変化は忘れることができないだろう。
そして最後は……紫尾の体が一度縦に割けたかのような痣、彼の妹が縦に割かれた時と同じ軌跡を見る度に、
目の前の彼が本当に紫尾なのか、死んだ妹に化かされているのでは、根拠の無い疑念に駆られ、
2年の付き合い全てを捨て逃げだしたくなるほどの生理的嫌悪感に襲われている今の自分自身である。
そしてこの闘乱祭を最後に、紫尾が不調を訴え入院し――そのまま卒業まで会うことは二度と無かった。
2014-11-23 21:40:52 +0000