皇国の落日

角砂糖

「私は午前の定例報告会議を終えると飛鳥御所へ向かい、クイーンの「市民宣言」に立ち会った。
ヒミコ203世は、幼いながらもしっかりと威厳を持って私の前にあらわれたが、
現存する世界最古の王室を自分の代で終わらせることに、さすがに沈痛な表情を隠せずにいた。
だが恋や仕事など、これから得ることになる全ての自由に対して、
私の末娘と同世代の少女らしい希望も持っている事が、私には救いだった。
そんな彼女の若々しさに、この島に暮らす人々の輝かしい未来を、私は信じてやまない。」
元自由統一政府極東アジア展開軍現地戦略司令本部長 アウグスト・デ・カストロ・ネーベスの回顧録より
■撮影に際し、司令本部は神格化された石櫃に統一軍旗を被せる予定でいたが、
旧宮内省の執拗な陳情と、それを受けた占領政策局広報部の意見により、
石櫃の前に広げる形となった。それでも聖域において撮られた女学生姿の卑弥呼と、
彼女を指導する教師の如きネーべス本部長の写真は、皇国の消滅を内外に強く印象付けた。

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2009-06-08 16:47:33 +0000