仁本物語【illust/39434894】最終世代に参加させていただきます。
晴れた日の昼下がり。 ぽつりぽつりとしずくが落ちる。
「うん、良い雨だ」
手のひらにしずくをうけながら、青年はつぶやく。
父の苦悩も、母の異形も継いだ青年は、それでも解放されていた。
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名前:骨曰雨(こいさめ)
性別:男
身長:170cm
年齢:見た目は25歳くらい
職業:恋愛小説家(兼劇作家)
種族:半妖
(人間に絡新婦・以津真天・雪女・雪男・トウビョウ・骨女・玉兎・化け狸・鬼・九尾の妖狐・木霊・雨女・文車妖妃がちょっとずつブレンド)
父:甘雨さん【illust/42610389】/母:骨羽【illust/42611326】
妹:晴さん【illust/43211257】
父の厭うた雨が付き纏う。
「それでもいいんです。 なにせ雨はラブ・ロマンスを運んできますからね」
母の厭うた異形の骨と枝とが頭に生える。
「ちょっとかっこいいんじゃないかなって、僕は気に入っているんですけどね」
それでも彼は捕らわれない。
苦しむことは少なかった。 愛することが難しくなかったから。
愛情のお手本溢れる世界に、こいさめは生まれた。
「父さんの雨は恋を運ぶ雨だったのでしょう。 愛で晴れるだなんて粋な真似をするものです」
「東の方では看護師のことを『白衣の天使』なんて呼び方もするそうですよ。 母さんや晴にぴったりだ」
「晴に救われた人は皆、晴のことを忘れたりするものか。 君の傘は永遠に、その心の中に」
□
以津真天の血が漂う無念を伝え
文車妖妃の血が悲しむ文字たちの声を聞かせ
木霊の血で木々から話を聞き
特殊な人間の血で恋を占う。
そうして集めた情報をもとに恋物語を書いて生計を立てている。
ペンネームは「菜ノ花 恋雨(なのはな こいさめ)」。
作品には雨を題材に用いたものが多い。
【5/11】素敵なご縁がありました
神代初陽さん【illust/43347839】
「いつもいつも傘をお借りしてしまってすみません。 初陽さんはよく気のきく優しいお嬢さんなのですね」
いやなんです あの人の行ってしまうのが
いやなんです あの人が別の誰かのものになってしまうのが
あの人を祝えない みにくい僕自身が
僕はこんなにも多くの文字で恋を扱っているというのに
僕はこんなにも恋愛というものが苦手なんだ
「初陽お嬢さん、今日もこんな日も、貴女は僕に傘を差し出してくれるのですね」
その優しさに触れるのは罪に思われて仕方がなかった。
僕にとってばかり都合のよすぎることじゃあないか。
――恋とは元来罪悪なのだろう
僕はいつだって罪を恐れてばかりいる。
罪を恐れて 眩しい明るさから逃げて
そんなことばかりしている僕に それでも貴女は傘を
「泣いた、後・・・そうか僕は今―――泣いているのですね」
ざぁざぁと降りしきる雨に潤う土壌と裏腹に、いたく喉が渇いていることに、僕はその時貴女の言葉を聞いた時初めて気づいたのです。
いつか貴女がくれた言葉の全てを
僕の持てる愛情の全てでお返ししたいと思っています。
それは遠くない未来にと
「初陽さん、好きです」
こんなときほど、僕は上手に言葉を使えないんだ。
この雨はまだしばらく止むことは無い
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おっとりした青年作家で最終世代2人目失礼します。
たくさんの愛情に触れて育ったおかげで、自分の能力や容姿を嫌うことなく育つことができました。
ただ、雨男にもかかわらずよく傘を忘れて外をうろつくので両親や妹には叱られることも多いようです。
友人関係など結んでいただけると幸いです。
関係者様をこちら【novel/3760071】にまとめさせていただきました。
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これは少し前のとある雨の夕暮れ時。 傘を差した女性が訪ねてきた。
あでやかな黒髪に、ちらりほらりと霜が降りている。
年の頃は見る限りでは50を少し越したところだろうか。
「これを受け取って貰えるかしらぁ。 持っていてくれるだけでいいのよぉ
きっといつか、あなたを導くはずだから」
ただの大年増とは思えぬなまめかしい口調でそう述べながら、女性は美しい反物を差し出してきた。
何かにそそのかされるがごとく身にまとい過ごしているところに、かけられる声。
「あなたの小説を読ませていただいたものです。 ひとつ、劇の脚本なんか書いてはいただけないでしょうか」
声をかけてきたのは昨今話題の劇団関係者で――
2014-05-02 11:48:18 +0000