【仁本物語】鶯【第伍世代】

百日草
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✖こちらの企画様、第伍世代四人目失礼致します。【illust/39434894


海を自由に往く鮫よ。
空を飛べずに嘆く燕よ。
地を歩き世界を見渡す小鳩よ。

さぁさ見ていけ大喜劇!
海も空も地も望めない出来損ない。
翼は生えず、尾は動かず、足は歩めない!
水槽の中でただ一人、笑い続ける成り損ない。

燕は口角を上げ、
何と悲しそうに大演説!

”何も望めぬ哀れな雛鳥!”

”此処からあんたさんはどうするどうなる?”

さぁさ見ていけ終演劇!
役者は一人、道化師だけ。
息すら出来ない水の中、静かに目を瞑るのは。

(大蛇がぐるりと水槽を囲み、
 動けぬ主を憐れみながら、ずっと扉を眺めていた)


✖鶯<うぐいす>。本名深沢 (名前は不明)。
 一人称は「これ」、二人称は「あんたさん」「人様」。
✖性別は女性、外見年齢は23歳、身長は2m30cm(人型だと177cm)。
✖様々な妖怪と人間の混血である。
 色濃く受け継いだのは母の血で、下半身は鮫。
 そして何故か猛吹雪が起こせたりする。
✖性格は父を見た故か皮肉的。
 何時もクスクス笑っているが、その皮肉を自分に向ける方が多い。
 嫌な事を言ってしまったと思うと後で後悔している。
 慣れるとふっと寄ってくる様になるのでわかりやすい。
✖人型になれるのだが、歩く事が出来ない。
 勿論翼は生えていないし、鮫としての下半身は動かず、完全に水に浸かれば溺れる。
 人の足は機能をせず、なった瞬間崩れ落ちてしまう。
 人型でないときは水の中に少しでも居ないと息苦しい為、
 いつも半身を出して水槽に掴まり生活している。
✖父が用意した大きな小屋の中に小さな水槽がひとつある、
 後は何も無い、そんな家に居る。
 人の声もせず、稀に父が来るだけ、それでも外に出れない自分を、
 父と共に嘲笑っている。
✖人と目を合わせるだけで心を読むことができる。
 でも読んだ事があるのは家族だけ。
✖大蛇は只々、外へ繋がる扉を見ている。


「…いらっしゃいませ、動けない道化の小屋にようこそ?くすくす…」
「これに何か聞いたって無駄よ?何も知らないもの…」
「あぁ外に出たいわ。歩きたい。でも水の中も泳ぎまわりたい。
 …空を飛びたいなんて願った時もあるけど、見ての通りのこのザマ」
「人魚に見間違われなくてよかったわ。似ても似つかぬ外見だもの」


「あんたさんは何時も扉を見ているわね。
 これの代わりに、ずーっとずっと……馬鹿みたいよ。お節介な馬鹿蛇さん」


✖素敵な旦那様に攫って頂きました…!
 あんたさんも相当な物好きね、熊野満彦さん【illust/42987647
大蛇が動き扉を見据える。
現れたのは、なんて自由な遊び人。

「これに構うなんて、随分お人好しだこと?
 あんたさんもこれも時間の無駄。もう来なくって構わないわよ、お帰りは、あちら」


大蛇は見ている。
扉の向こうを。

「くすくす、あんたさんはこれを気に入ったの?
 何も知らない何も出来ない魚は、そんなにも滑稽なものなのかしら」


かたり、外れる鍵を今日も見る。
何時しかその目は、扉では無く。

主の名を呼ぶ、その人へと。

「…満彦は女性が好きよ。
 外にはこれより良い人がたくさん、たっくさん居るわ。
 ………あっ、やだ、息が、くる、し」


(何故陸に上がろうとするのだ主よ。
 貴女は水槽の中で只々沈んでいただろうに)

(主よ、あいつは主に好意を抱いている。
 我はわかる。嗚呼わかる。
 女の匂いが尽きない男、どうする。食うか。食うか)

(主、主。
 水槽から出たいと泣くか。
 あの男を想って自身を嫌うか。
 嗚呼主、我はわかる。主もまた、絆された)

(途中から、分かっていたさ)

「……これ、は…。
 これは、沢山、行きたかったわ。
 空も飛びたかった、世界を見渡したかった、海を潜りたかった。
 でも、もう、もういいのよ」

「満彦が、そばに、いれ、ば」

「…嗚呼、嗚呼、嫌ね。なんで無様な喜劇なの」


(主よ。
 飛べぬ歩けぬ泳げぬと、馬鹿にするのはもう止めだ)

(何が出来なくとも、その傍に)

(見守る輩が出来たのならば)

(なんて幸福そうな顔。
 なんてふやけた無様な顔)

(何も心配は、あるまいよ)

「…外の言葉は、分からないのだけど。
 これは、満彦を、あいしてる、のよ」


(ほらほら、朱色に染まって、嗚呼居辛い!)

✖羨んだ家族
空は飛べずとも地を踏みしめ悠然と歩く父、燕(深沢誠)【illust/42468958
「これはこれはお父様。ご機嫌麗しゅうですね?」
「あんたさんが空を飛べずと嘆いたお陰で、娘もこの通りよ」


水中を優雅に泳ぎまわり芸を見せる母、水密桃さん【illust/42107462
「麗しのお母様。今日もあいも変わらずお元気で」
「…これはあんたさんを恨むようなことはしないわ?
 父の事も嫌いじゃない。ただ、これはこれが嫌いなだけよ、ふふっ…」

 

地を自由に踏みしめ音楽を奏でる妹、小鳩さん【illust/42948691
「いらっしゃい愛しき妹ちゃん。美しい音色で御座いますね」
「外の世界はどんな風なのかしら?賑わう人々の喧騒は?
 …嗚呼、これは聞くだけでいいのよ。望んだって叶わないでしょう」


✖四人目失礼致します。
 どうにも出来ない子です。
 静かに皮肉をプレゼント。

✖その他関係は各種ツールでお願いいたします!お気軽に!

✖何か不備等御座いましたらお手数ですが申し付け下さい。

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2014-04-19 14:11:27 +0000