〜ある生物学者の記録より〜
いつ頃からだったろうか。そう、確かとある商会が琥珀城を解体しテーマパークを作ると言い始めた頃だ。
急にこいつは現れた。
体長は40センチ位。
特に人に危害を加える様子は見られない。どうやら性格は大人しく臆病なようで、何かを恐れるかのようにこそこそと逃げ回る。
足もそれほど早くなく、私でも容易く仕留めることが出来た。
しかし、奇妙なことにこいつは仕留めた時、死体が消えてしまうのだ。謎の黒い棒だけを残して。
この生き物には奇妙な点が多い。
例えばこの毛の模様である。黒い体に手袋をはめたかのように白い手、ズボンのような赤い胴の模様、靴のようにも見える鮮やかな黄色の足。
死んだ時身体が消滅するというのも奇妙であるが、なにより奇妙なのはこの黒い棒だろう。
材質は分からない。硬いとも柔らかいとも言い難く、薄い見た目をしているがどれだけ力を加えても折れない。防具に運用出来ないかとも思ったが加工する技術が無かった。
また、聞いた話によるとこの黒い棒は食べられるらしい。
食べた後丸一日は声が妙に高くなるのだとか。
どの方向から見ても同じ形に見えるらしいのだが、何故そうなのかも分からない。何かの魔法ではないか、という説が現在最も有力とされている。
どうやら目ではないらしく、本当の目を保護していると思われる
。
だが、気を付けて欲しい。好奇心に駆られたからといってその黒い棒は絶対に取ろうとしてはいけない。
私の友人二人が調査の為にミギィを捕獲し、その目の黒い棒を取ろうとした時、その黒い棒に触れた一人が「消えた」というのだ。
捕食されたのか、何かの術で消滅させられたのかは分からない。とにかく、「消えた」そうなのだ。
死んだ後に残った黒い棒にはその効果は無いようで、触っても何も起こらない。それだけ本当の目を見られてはいけない事情があるのだろう。
この情報はもう一人の友人が遺してくれたメモに書いてあった。
不審に思った彼ら二人の同僚が調査室へ向かうと、ミギィとこのメモと一枚の写真だけが残され、部屋には誰も居なかった、ということらしい。
今、そのメモと写真は私の手元にある。写真には少しだけ本当の目が写っている。
彼らの為にも、私がこいつの正体を見破ってみせる。
この目の形、身体の模様から考察すると、間違いない。
この生き物の正体は、とある世界の有名なテーマパークのキャ
記録はここで途切れている。
◼︎問題がありましたらお伝え下さい。
2014-04-05 09:01:10 +0000