米軍12.7㎜弾薬(50 CAL.BMG Ammunition)

たまや C101土曜東ア30a

第二次大戦中、ブローニングM2重機関銃やその派生型の航空機銃で用いられた各種弾薬を示す。

【普通弾】
●M2普通弾(Cartridge,Caliber.50: Ball,M2) は、基本的に人員か非装甲の目標に対して使用するものである。弾丸は中央に1条のローレット又は溝を有する弾尾狭窄弾で、鋼製の弾心を有し、頭部に硬鉛(鉛-アンチモン合金)填実物を入れ、丹銅(ギルディングメタル、亜鉛5%前後の銅-亜鉛合金)の被甲で被った構造となっている。薬莢は黄銅製で他の弾種全て共通である。この弾薬は、自衛隊でも66式M2普通弾として採用されている。このほかに、自衛隊では用いていないが米軍などではM33普通弾をM2普通弾に代えて1951年から使用している。

【徹甲弾】
●M2徹甲弾(Cartridge,Caliber.50: Armor-Piercing,M2) は、装甲目標などに対して使用するもので、基本構造は普通弾に準じるが、弾心がタングステンクロム鋼又はマンガンモリブデン鋼製で、識別のため先端を黒色に塗装する。装甲貫通能力は、500mで19mm、1200mで10mmである。

【曳光弾】
曳光弾は通常、一連のベルトリンク中の数発に1発の割合で配合されている。

●M1曳光弾(Cartridge,Caliber.50: Tracer,M1) は、射撃訓練で弾道標示や目標指示、焼夷弾攻撃目標の標示に使用するための曳光弾である。ローレット1条を有する弾尾非狭窄弾で、構造はまず前部に硬鉛の弾身があって、後部に曳光剤を入れ、これらに丹銅もしくは丹銅被覆鉄被甲を被せてある。徹甲弾などと異なり、底面には曳光剤に点火するための孔が開口している。弾種識別のため、先端を赤色に塗装する。

●M10曳光弾(Cartridge,Caliber.50: Tracer,M10) は、戦用の弾薬であり、弾道標示や目標指示、焼夷弾攻撃目標の標示に使用し、全ての50口径航空機関銃に用いる。外観や構造は概ねM1曳光弾に準じるが曳光特性を異にし、弾種識別のため、先端を橙色に塗装する。

●M17曳光弾(Cartridge,Caliber.50: Tracer,M17) は、戦用の弾薬であり、弾道標示や目標指示、焼夷弾攻撃目標の標示に使用し、侵徹量がそれほど大きくないことを除けば、M20曳光徹甲焼夷弾の代わりに用いることができる。また、航空機銃ではM1曳光弾と置き換えて使用する。外観や構造は概ねM1曳光弾に準じるが曳光特性を異にし、弾種識別のため、先端を栗色に塗装する。

●M21曳光弾(Cartridge,Caliber.50: Tracer,Headlight,M21) は、空中戦において弾道標示に使用するための曳光弾である。外観や構造は概ねM1曳光弾に準じるが曳光特性を異にし、弾種識別のため、先端を赤色に塗装する。

【焼夷剤を有する弾薬】

●M8徹甲焼夷弾(Cartridge,Caliber.50: Armor-Piercing-Incendiary,M8) は、M2徹甲弾、M1焼夷弾に代わって、装甲目標、非装甲目標および可燃性の目標等に対して使用されるほか、コンクリート製掩蔽部等に対しても用いられる。弾丸は中央に1条の溝を有する弾尾狭窄弾で、弾丸内にはタングステンクロム鋼又はマンガンモリブデン鋼製でM2徹甲弾のそれより短い弾身を有し、頭部にIM11焼夷剤を、底部に硬鉛填実物を入れてシールし、これらを丹銅被甲で被った構造となっている。IM11焼夷剤は、硝酸バリウム50%・マグナリウム(マグネシウム50%・アルミ50%合金)50%の混合物である。装甲貫通能力は、500mで16mm、1200mで8mmである。標的を貫通すると同時に命中衝撃で焼夷剤が爆裂発火し、可燃物を燃焼させる。弾種識別のため、弾丸先端をアルミニウムカラー(銀色)に塗装する。

●T49徹甲焼夷弾(Cartridge,Caliber.50: Armor-Piercing-Incendiary,T49)は航空機銃でのみ使用される弾薬で、長さが49.15mm(1.935インチ)、とM8徹甲焼夷弾に比べて著しく短い弾尾非狭窄弾である。弾種識別のため、弾丸先端11.1mmの先半分を青、後ろ半分をアルミニウムカラー(銀色)に塗装する。

●M20曳光徹甲焼夷弾(Cartridge,Caliber.50: Armor-Piercing-Incendiary-Tracer,M20)
は、装甲目標、非装甲目標および可燃性の目標等に対して使用されるほか、コンクリート製掩蔽部等に対しても用いられる。本弾自体に曳光機能があるので、これがベルトリンク中に配合してあれば別に曳光弾を入れる必要は無い。弾丸は中央に1条の溝を有する弾尾狭窄弾で、タングステンクロム鋼又はマンガンモリブデン鋼製の弾身を有し、その底部を穿って設けられた曳光剤室に曳光剤を内蔵する。また、頭部にはIM161焼夷剤(IM11焼夷剤とする資料あり)を入れてあり、これらを丹銅被甲で被った構造となっている。装甲貫通能力は、500mで21mm、1200mで11mmである。標的を貫通すると同時に命中衝撃で焼夷剤が爆裂発火し、可燃物を燃焼させる。曳光は、300~1750mで、発射直後は弱い曳光であるが、次第に光量を増加する。弾種識別のため、弾丸先端11.1mmの先半分を赤、後ろ半分をアルミニウムカラー(銀色)に塗装する。

●M1焼夷弾(Cartridge,Caliber.50: Incendiary,M1) は、特に航空機に対する焼夷効果を目的として用いられる。弾丸は中央に2条のローレットを有する弾尾狭窄弾で、内部は最後部に硬鉛の弾身があって、その前方に中空円筒形の鋼体を置き、その内部と前部にIM11焼夷剤を入れ、これらを丹銅被甲で被った構造となっている。標的命中時の衝撃で焼夷剤が爆裂発火し、可燃物を燃焼させる。焼夷剤の威力は、概ねコンポジションA相当である。弾種識別のため、弾丸先端を水色に塗装する。

●M23焼夷弾(Cartridge,Caliber.50: Incendiary,M23) は、可燃性目標に対する焼夷効果を目的として12.7mm航空機関銃でのみ用いられる。M1焼夷弾よりも焼夷剤量は多く強力で、航空機燃料に対する焼夷弾としてはより効果的である。弾丸は中央に2条のローレットを有する弾尾非狭窄弾で、内部は最後部に硬鉛の弾身があって、その前方に鉄製容器とIM28焼夷剤(IM11とする資料あり)を入れ、これらを丹銅被甲で被った構造となっている。IM28焼夷剤は、過塩素酸カリウム10%・硝酸バリウム40%・マグナリウム50%の混合物である。標的命中時の衝撃で焼夷剤が爆裂発火し、可燃物を燃焼させる。弾種識別のため、弾丸先端11.1mmの先半分を青、後ろ半分を水色に塗装する。

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2014-02-17 14:57:25 +0000