デートに行くといってもハンバーガー屋だとかアイス屋にしか行かないような彼が、いきなり夜景が見えるお店に行きたいなんて言うものだから調子を狂わされてしまった。目の前にいる彼がまるで別人のようでなんだかそわそわしてしまう。胸の高まりをどうにかしようと、手元にあるシャンパンを一気に喉へ押し込む。「そんなに一気に飲んだらもったいないじゃないか」なんて言われたけど無視する。うるさい。誰のせいだと思っているんだ。というかそんなことを言っている彼もお酒のペースはいつもより早いし、心なしかそわそわしている。このなんとも言えない緊張感をなくすためにいつもと同じような感じで、貴方の方がお酒いっぱい飲んでるじゃないかなんて指摘したら「うるさいなぁ!」なんて真っ赤な顔で言い返されてしまった。「ねえ・・・」しばらくの沈黙。「ここの夜景、綺麗だって有名なんだって。料理も美味しいって。」彼は外の夜景を見ながらぼそっとつぶやいた。――どこか他人事のような言い方に、ああ・・・必死に調べたんだなあ。と、なんとなく感づいた。でもなんだか子供が頑張って背伸びしているかのような行動がなんだかおかしくて、つい笑ってしまった。彼はそれに対してまたまた顔を赤くして必死に反論するが、まるで説得力はない。「なんだい・・・人がせっかく・・・・・・」セットしたであろう髪を彼はワシャワシャと掻き回す。そして一息つき私を見た。その眼は外の夜景に負けず劣らず美しいスカイブルーだ。「君って本当に怖いんだぞ。なんで俺のことなんでもわかっちゃうんだい?」・・・それは貴方が単純だからだ。その言葉は今は喉元にとどめておこう。「それで俺を子供扱いするし、世話焼きだし、怒ると怖いし・・・」そこまで言うと彼はまたシャンパンを飲んだ。なんだか変なことを言えない雰囲気に私は、黙ってシャンパンが彼の口に入っていく様を見ていた。よく見ると酔のためか顔が赤い。・・・さっきまでこんなに赤かっただろうか?そんなことを考えていたら、知らないあいだに彼は私の方を見ていた。こんなに穏やかな彼の顔は見たことがない。思わず見とれた。すると彼はフッと笑い口を開いた。「でも・・・そんな君の事が好きなんだ。」いきなりの言葉に、思考が、停止し、た。彼の瞳に映る私もまた、彼と同じく真っ赤だった。■二年前の線画に背景を描き足してこの妄想をしながら描きました。メリカ結婚してくれ。
2013-07-12 14:33:51 +0000