ニスルサギルの中央通りを白い列が進む。表情は見えない、ただ誰も一言も発せずに歩いて行く。 「・・・ラムルの兵か」彼女の表情は硬かった。 「始まるなぁ、戦争が」露店商の男は言う。 「・・・あの中に加わりたかったか?」 「自分の役割くらい分かってるつもり。アタシなんて足手纏いだよ」 「謙虚だな」 「死にたくないだけ」 彼等の銃と足は、きっと何よりも重い筈だ。物言わぬ白を横目に、彼女はそう思う。
2009-03-30 11:43:29 +0000