静謐たる空間に薙ぎ音の一つとしてなく
荒く 殺された呼気のみが体に響く。
己のものか、終わりに立つ世界の息吹か
いやしかし確かに感じるこの熱は一体誰のものであろうか
霞んだ双眸に浮かぶ影は揺らめいて、うまくつかむ事かなわない。
強張った体躯が緩慢に解けていく。
ああ 「此処」には身を預けても良いのだ と。
安堵の中にある安堵ゆえの恐れは己身に現れた。
抱えていてくれと言わんがばかりに時折無意識にしがみ付く。
離れてくれるなと。傍にあってくれと。
それは師にさえ母にさえ一言も声に出した事のない、彼女の寂寥さの形であったのかもしれない。
愚図る子供のように腕の中で小さく身じろぎする。崩れ落ちぬようにであろう、気遣う腕は微か力強くに感じられ
「いいから少し寝てやがれ」
小突くように降って沸いた囁きにふと心ゆるぶまま
誰とも知れないその影に凭れ掛ると意識を最奥へ手放したのだ。
離すものあらば掴むものあり、継がれるものあらば繋がるものあり
次目が覚めれば夢現に忘れられていくものなれど
そうして世界は回っていく。
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是にて本編終了、お疲れ様です…!pixivファンタジアNEW-WORLD【illust/33956297】
2013-05-06 12:33:57 +0000