唯言葉を交わすだけではない。 唯共に在るだけではない。
共に笑ったあの日【illust/35217774】の夜は
広大な開拓の旅で「彼」が得た記憶は、分かち合えば己に棲まう。
繰り返し 繰り返し 言葉と邂逅に学んできたのだろう。
思いを交わす事で、彼を視る事で その往く道を追ってきたのだろう。
思い出せ、彼の鍛錬を
思い出せ、彼の在り様を。
見よう見まねでかまわない
彼の背中を供に連れて それを己に落とし込め。
己が身刃も届かずとも、これならばきっと遺産(あれ)を斬れるはず。斬れるはずだ。
それは始まりのあの樹海【illust/34388260】旅僧との邂逅の段。
あれは未完成であるとカラカラ笑った其の噺。
そして見つめた武仁の生き路【illust/35477980】
形にならぬ型は消え入るばかりの乱暴なもの。
閉じた目の先にただ「彼」を描き ゆっくりと呼気を整えた。
敵を裂くには遠く及ばない。己が爪に生じた小さな刃
始まりは朔、仕舞は望 ならば私は有明となろう
「…――刀気白浪桜武爪創 暁(あかつき)」
ああ ああボロボロだ。 あの人をもう怒れない。
でもそんな今だからこそ 転んでも、傷ついても、唯我武者羅に走り続けた彼の気持ちが
ほんの少しだけわかった気がした。
己も間違いなく 武人であったのだ。
刀気法【illust/34120903】
2013-05-05 10:42:01 +0000