不思議なものを見たのです。 眼前に霧かかった雨が去ったその場所に、小さなかたが座り込んでいました。
ここの群生する植物で切ったのでしょう、手に傷を作っていましたので、手当てをしようと膝を着くと、
滴る血は忽ちにその髪より目より深い藍の色に染まり、硝子玉のように落ちたのです。
私が糊空木の葉でそれを受け取るのを見届けた小さなかたは、さしあげます と言うかの様に、やはり小さくお辞儀をしたのです。
---【 一角獣の真珠 】:まだ何者にも染まる前の、極めて稀少な一角獣の幼生の血が結晶化したもの。一粒落とせば毒の沼を泉に変え、一粒口にすれば永遠の幸福な夢を見るという、消えることのない希望を胸に抱くという。(何でもひとつ叶えてくれるすごい石だと思って頂ければ大丈夫です。)
■お借りしました---松銀さん【illust/34119254】 ■ハイイロ【illust/34126961】
2013-04-15 23:16:02 +0000