北回帰線緑の気流

あぢゆみ

まず機体を左にスライドさせて一機目をやり過ごす。目の前の目標をロストしたそれがでたらめに迷走するのを横目に、いっぱいまで減速して2機目のミサイルを待った。 
「首を縮めて機動にそなえて!」落ち着いて自信に満ちたいつものシオンだ。爪先をスロットル制御ノブにそえ、一瞬のタイミングをはかる。いつの間にそうしたのか警告音をカットされた、気が付けば意外に静かなコクピット。日差しが茶虎縞の頭に照りつけそれがマリーにずっと昔縁側で眠っていた仔猫の頃のシオンを思いおこさせた。ひまわり。そよぐレースのカーテン。遠い蝉時雨・・・       
そしてJF-280スーパーアビシニオンの二つの咆哮と共に水平線がくるりと回転した。高度を一気に800フィート落とし敵の下面を横切る。すばらしい加速とマニューバ!且つ猫の反射速度に合わせ特化されたこの機体に固定照準できる敵機はなかった。「B-47は?」飛行雲 が長く南に伸びていた。行き先は分かっている。いま世界安保維持会議が開催されているテフロン島だ。各国の要人が息を呑み余談を許さぬやり取りを繰り広げているまさにそこを攻撃されれば・・・そうなれば新たな世界大戦の始まりだ。  
「見えた!」長くひかれた飛行雲の先に六つの尾を引く後退翼をとらえた時その翼下から離れる白点がキラリと光った。今まさにプラズマサターン爆弾が投下されたのだ。この恐るべき兵器が地上で炸裂すれば爆心地を中心に半径2千メートルの総てが薙ぎ払われるだろう。  
築かれた栄華の証それらを地に返して・・・
   シオン「あきまへんマリー姉さん!残弾がおまへん!」
   テレサ「いやああぁぁぁぁぁ!戦争がぁ 世界大戦がぁぁぁ」
   マリー「まだよっ!私達にはまだ・・・これがあるっ!!」                    マリー姉さんは力持ちだナー

#original#M60#耐Gスーツ?何それアブラムシに効くの?

2013-04-07 16:33:51 +0000